ユニット的考えの薦め2003-11-07
我がごとの話しを今回も引き続いて・・・。
過日、10月25日を持って2003年度関西学生サッカー秋季リーグ・2部Bブロックが終了した。
我が姫路獨協大学体育会サッカー部は春季リーグにおいて2部自動昇格を果たしたことによりサッカー部創設依頼初の2部リーグを秋季に経験した。
結果は3勝3敗3分、勝点12で第6位となった。
2003秋季リーグ結果≫≫
2003秋季リーグ選手スタッツ表≫≫
初陣のトライ
創部以来初の2部リーグを経験した我がチームのメンバー構成は3回生5人、2回生2人、1回生14人、マネージャー5人の計26人の部員。加えて実は今年の春に新入生を迎え入れてやっと11人以上のチームになったという事実がある。そのことを思えば春季リーグにおける3部総合優勝(A~Dブロック1位4チームでの順位戦にて優勝)、2部昇格はよく頑張ったと言える。
だが、この2部昇格劇は裏返せば秋季リーグに向けて補強無しで2部というワンランク上の舞台を戦えということである。つまり年度替りのときのように新入選手の力を借りることができないのである。本当に2部を戦えるのか?1部昇格どころか残留できるのか・・・?そんな思いをよぎらせながら7月、8月と準備をしていった。
2部リーグの相手に対して何が出来る?
2部リーグはA、Bと10チームずつ2ブロックで行われ、前季(秋季リーグで言えば春季リーグ)の順位を元に10チームをランキング付けする。1部から降格してきたチーム(降格したとはいえ実力は1部レベルであるからして)をランク1とし、1部との入れ替え戦にまで進出したがおしくも敗れ2部に残留したチームをランク2、以降は前季の成績によりランク3、ランク4と続いていく。我々は3部優勝で自動昇格をしたもののランク9、しかし自動昇格でなく入れ替え戦において昇格したチームはわれわれより下位とされ最後のランク10位と位置付けられた。
リーグ戦というものは対戦していく順番というものが実は重要なウェイトを占めている。今回は初戦がランク2(大阪教育大学)、第2戦がランク1(京都産業大学)といきなり強豪校との対戦が組まれた。しかし3戦目からは逆にランク10(大経法大)、ランク8位(佛教大)、ランク7位(神戸商科大)、ランク6位(大谷大)、ランク5位(神戸大)、ランク4位(龍谷大)、ランク3位(奈良産業大)と対戦していった。
その状況に合わせて私が戦前に選手たちに対して言ったことは
- トーナメントでなくリーグ戦であることをよく考えること
- リーグにおいては如何に負けないことを徹底するかが大切だということ
- 9試合の試合をユニット分けして目標値をはっきりさせること
勝点3を取るべき相手と勝点1でも獲得すれば良しとする相手を区別してその相手別に試合展開を考え準備するという考え方、習慣の会得
- 勝ちをものにする、勝ちを逃がさないために物事をやり通す力を付ける
- 1対1の守備力向上
をあげた。はっきり言って今回はこれ以外何もしていない。
2部リーグで何を学ぶ
「対戦相手がどこであれ自分たちの持っている力を試合で出す」ということと「相手によってやり方を変えていく」ということをバランスよく実践していくということは指導者としてかなり頭を悩ますところではないだろうか。公式戦なら負けたくない思いが大きくのしかかり敗戦を覚悟してまで“経験”を優先させるということをチョイス出来るだろうか?こう言った割り切り、言い換えれば思い切った事というものを実際には実践出来ないと悩む。と言いつつも勝つために対戦する相手に対応して自分たちの戦い方を器用に変えていくといったことが出来るというわけでもないだろう。出場する選手の経験値により、やれる事とやれないことが限られるのであるから・・・。しかしながらどこかでそういったことも指導していかなければならない。出来るとか出来ないとかは別としてもそういったことが実践できる能力を身に付けさせる、または身に付かないまでもそういった考え方をしていくと言う事が必要だということをわからせる指導をしていかなければならない。
我がチームの選手たちが全員私の言うことを理解しており、それ相当の経験を私が選手全員にさせてきているかというとそうではないかもしれない。証拠に我がチームにおいても一分も出場していない選手もいる。リーグの状況(現時点で何勝何敗か?次の試合まで何日空いているか?など)、背景(前節良い試合が出来ていたか?今日は雨か?相手は前節調子を上げてきていたか?など)、選手を育てていく上でのプロセス上の課題、相手チームの状況、試合をしていく上での背景を考え、我が選手のやれる事とやれないことを整理し、やれるだろう人間がやれるだろう事をやってみて、その結果として評価をし、先発とリザーブ、エントリー外の選手が試合毎に決まる。しかしそれは一時的なことであり試合毎に変わるというのも事実である。日々、個人的に変化をしていきリザーブに、そして先発へと名を連ねてくることは当然期待している事であり、そうあってもらわねば困るのだ。
今回、第1,2戦の上位ランクとの連戦をマックス勝点6のところ(当然6取れればよいのだが)何とか2ないしは3を取ろうと言い、第1ユニットとして括り準備をした。常時7名は1回生が先発出場する我がチームはどうしても経験が不足している。最終ラインセンターを3回生で占め安定性を高めてはいるが・・・。私はこの経験の少ないチームに対して経験を積ませる事を第1優先課題としてずっと考えてきていると同時にどうしても3部降格を避けたいという思いを持っていた。この相反する思いを両方会得する術はないかと考えた結論が1対1の反復とやり遂げる強さの向上であった。
プラン
第1ユニットの2試合を両試合とも引き分けで乗り切り勝点を予定通り2点獲得した事は結局大きな自信となったのだが、緒戦と第2戦においてメンバーを半分入れ替えての勝ち点2であったことが大きい。緒戦のリザーブ選手はリザーブでなくなるというチーム内の競争を生んだのだから。この競争が第2ユニットと位置付けた次の4試合の初戦、通算で言えばリーグ第3戦の勝利につながった。これは記念すべき2部初勝利となった。2部昇格順位戦決勝にて1-0で勝利した大経法大にリベンジされないというモチベートで返り討ちにあわせた。
人間はまさかと思うことを成し遂げた後や自分の持っている力を目一杯出し切った後というのは達成感というものを覚えてくることを証明したのが通算第4戦の佛教大戦。前半開始早々のなんでもない縦パスに誰一人付いていけない。失点後攻め立てるも精度が低くサポートも遅い、切り替えも遅いとまったく良い所が出てこない。それはひどい試合だった。しかし、第3戦までに見られた緊張の連続の試合を狙い通りに進めてくれば自分たちが「結構上手いのでは」と思うのも無理はない。何せ経験がないのだから・・・。結果的にはこれも自分達の気を引き締めるのに大いに有効なゲームであった。第5戦・神戸商科大戦、第6戦・大谷大戦と勝利をし、勝ち点を11とした。
私は選手たちに「第1・2戦で勝点を2点、第2ユニット4試合で最低勝点9点を取る」というプランを伝えていた。もちろん負けてよいという意味で4試合マックス12点のところを9点でよいと言っている訳ではない。つまり、できるだけ早い時点で(最速で5試合終わった時点)勝点最低11と言う目標を立てたのである。その根拠はこうである。10チームの中で自動降格に該当する最下位は普通、全敗で勝点0点。入れ替え戦に出なくてはならない9位と8位はそれぞれ1勝8敗と2勝7敗と考えられ、勝点で言うと3勝分の9点を獲得すれば残留圏内と考えられる。まあ少し余裕を見て11点というところかというプランである。しかも早く決めてしまえばしまうほど残り試合において思い切った戦い方、トレーニング、経験ができると考えていた。しかし、結果的にはこの第6戦大谷大戦を終えても残留を決めらないどころか最終節まで順位がはっきりせずもつれ込んだ。勝点12点も上げたのに・・・。
最終節、奈良産業大学に終了間際のフリーキックを押し込まれ1-2で敗れた。勝っていればその同日に行われている他の試合結果にかかわらず自力で残留を決められたのだが敗れてしまった。しかし運も味方したのか争っていた大経法大、佛教大がともに破れ我々は結果6位となった。実はこの両校が勝利していたら8位となり入れ替え戦に出なければならなかった。反面、奈良産業大学に勝利していたら4位になる可能性もあったのだからいかに混戦であったかお分かりいただけるであろう。
プランに対する実践
初陣として如何に格上と戦いながら結果を残し、それでいて選手に経験をつませていくか・・・?
それは第1にさせる事が出来るだろう“経験”を欲張らないこと。経験させるといってもありとあらゆることを経験させられるわけではない。相手がいて自分たちがいる。勝ち星など状況もさまざま。何を経験できて何ができないか?私は今回、格上の能力を持った相手選手に一瞬速い反応を持って如何に先手を取れるかと言う点に絞って個々を観察した。そして、一瞬相手に離されず付いていく、そしてそれを何回もやり通す守備の強さを何回も反復し練習、トライさせた。ハンドパスで行う1対1、2対2等など。リーグ開幕前3週間はこのたわいもない1対1の反復練習ばかり行った。結果は必ずしも満足いくものではないがそれでもそれなりに戦えるものだなあと逆に選手たちの奮闘に驚きさえ持っている。やればできるものだと。
リーグも佳境に入れば攻撃の練習などもしていかなければならない。いくつか行ったとは言え結局基本は個々が一瞬速く先手を取ること。そして前出の守備。フォーメーションだのコンビプレーの練習などはリーグ前2ヶ月間を通して全体の2割位だろうか。それでもそこそこの結果が出るのだ。「いや~ そう言うけどそこそこの選手を集めているからでしょう?」って言う人もいるだろう?よければ添付の選手スタッツ、星取表を見ていただきたい。
私が今回言いたいのは長期のプランをもって今を欲張らず、選手に何をするかを理解させ、じっくり練習すること。そのテーマによっては経験と勝利の両方を得る事が出来るということ。
皆さんに私の言いたい事が上手く伝わっているだろうか?良ければ皆さんのご意見聞かせていただきたい。
追伸
皆様から「いつ更新するのか?」毎日ホームページ見なアカンと手間がかかると言うお叱りを頂きました。そこで、11月よりこのコラムを2週に1回アップしていきたいと思います。本当に可能か少し不安ですが・・・大学で論文も書かなければならないもので・・・しかしチャレンジしてみようと思います。第2、第4月曜日にアップと言うことでよろしくお願いします。
そして今回の話題についてとか全体を見渡して私に対する批評とか何でも結構です。ぜひホームページ、私のバナー下の“ご意見ご感想はこちら”と言うところからいただければ幸いです。