サッカーとハート :初の1部リーグとの入れ替え戦2007-05-29

今回のコラムは実に3月23日から2ヶ月ぶり・・・。なのに話題も少々私事から・・・。この2ヶ月は協会業務も控え飲みも控え・・・自チームに専念!だからコラムも書けず・・・。

2007年度 第17回 関西学生サッカー春季2部リーグは4月8日よりが5月20日まで全20チームを10チームずつ2ブロック、各ブロック9試合の1回戦総当りリーグで行われた。私が指導している姫路獨協大学体育会サッカー部は2部Bブロックに分属され大阪経済大・大阪教育大・大阪産業大・甲南大・大阪府立大・京都大・神戸学院大・奈良産業大学・天理大学と同組に入った。

開幕2連敗スタートによるチームつくり

開幕戦の大阪経済大学戦・第2節大阪教育大学戦をともに0-2と落とし開幕2連敗で始まったこのリーグ。続く第3節・大阪産業大学戦は第2節(4月14日・土)の翌日(4月15日・日)というタイトなスケジュールであり、敗戦の気持ちを切り替える時間が無い非常に難しい試合となった。しかしこのまま指をくわえて見ている訳にはいかない。

私は第2節の敗戦直後にある決断をした。それは敗戦ムードの空気を変えること・連敗の悪い流れを断ち切ることを狙いとした人員的刺激だった。それは怪我や語学留学等でセカンドチームにてコンディション調整をしていた4回生3名をAチーム合流させることだった。こういった開幕2連敗というシュチエーションにならなければ合流はもう少し後にしていたかもしれない。しかし2連敗したそのグラウンド上で決断した。ただ、だからといってその3名を同時にゲームに即先発させては意味はない。なぜなら即先発させれば替えられた選手・他の試合に出ていない選手間のモチベーションはどうなるだろう?長丁場の”リーグ“を戦うのだから3名の即先発はしない。戦力には違いないが最上級生という背景が地味な作業や叱咤激励、ムード作りをやってのけてくれる。ましてやプレーで結果を出してくれれば一石二鳥である。結果、翌日の大阪産業大学戦は開始3分の先制点に始まり4-3という乱打戦を制し初勝利を挙げた。と同時にドラマチックな試合展開がチームの調子を上向きにした。

ユニット的考え

続く第4節甲南大学戦も終了間際で追いつかれたものの3-3のドローで勝ち点を獲得。あわよくば2連勝というところを逃した結果だが選手はネガティブにならず、むしろ追いつき・リードしたことに自信を持った。実はこの開幕4連戦の相手はすべて過去に1部リーグの在籍経験がある大学でありそれぞれスポーツ推薦で早くから強化を始めているチームばかりである。歴史や過去の成績においては一歩も二歩も先輩である。

しかし試合はやってみないとわからない。サッカーとハートNO15でも書いたようにリーグ戦においてはユニットだ。つまり冷静に分析して勝ち点が取れる相手か厳しい相手か・・・を考えなければならない。そこで私は最初の4節(大阪経済大・大阪教育大・大阪産業大・甲南大)でマックス勝ち点3×4ゲーム=12点のうち7点をゲットすることを目標に掲げ選手に話した。もちろん全勝に越したことはないがなまじ“全勝しないといけない”と言い切るともしどこかの試合で敗れたときに『もうあかんわ・・・』と修正が効かなくなるのが怖い。むしろ『1つくらい負けてもまだ大丈夫!』と思えたほうが良い。実際大丈夫なのだから・・・。

勝ち続けることとリーグ全般の展開を読む

そのあとは第5節〜7節(大阪府立大・京都大・神戸学院大)を第2クール、第8・9節(奈良産業大学・天理大学)を第3クールと位置づけた。第2クールは必ず勝ち点を9点取る対戦、第3クールはリーグ全般の様相がわかってくる頃なので得失点差を考えながらの試合運びの対戦となる。しかしこうやってあれこれ考えているものの結局どっちにしても負けて良い試合などは存在しない。リーグの最初に負けが先行すればするほど後からの試合は負けが許されなくなっていくのだ。結局勝たなければならなくなる。しかし大切なのは考え方である。勝つためのモチベーションつくりと負けたときの修正手段の両方に予防線を同時に張りながらリーグを踏まえていく・・・。

我々は最初の4試合を1勝1分け2敗の勝ち点4でしのいだものの、目標勝ち点7には届いていない。しかしその足らない分、“勢い”という武器をゲットした。正直この時点では上位2位以内(2位以内に入れば1部リーグへのチャレンジ権獲得のチャンスがある)に入るにはもうひとつも負けられない状態。しかし私が選手に伝えたのは最終節に近づくほど上位4強がつぶし合いをしていく組み合わせなので(我々は先に4強と試合をしたという組み合わせの妙が後でものを言う)我々が勝ち続けていけばどう考えても勝機はある、負けずに行けばチャンスだ・・・ということである。先にも述べた得失点差ももちろん気にしなければならないがこのシュチエーションではまずきちんと勝ち点をあげることを目標に切り替えた。以降、大阪府立大学には3-0、京都大学に2-0、神戸学院大学に2-1、奈良産業大学に4-2(これは雨天の中での逆転した熾烈な試合だった・・・)、 天理大学に3-2(これも逆転に次ぐ逆転でドラマチックな試合だった)と勝ち続けた。 結果、○○に勝っていれば1位になれたかも・・・というネガティブ思考ではなく、純粋に喜ぶべき大阪教育大学に次ぐ2位となった。勝てなかった・・・という考えではなく負けずに引き分けられた・・・つまり相手に勝ち点3を与えずに戦えた・・・という甲南大学に結果、勝ち点1の差で我々は2位であり甲南大学は3位だったのだ。我々に勝った大阪経済大学は大阪教育大学・大阪産業大学・奈良産業大学に敗れ京都大学と引き分けたために5位に終わった。

2部Bブロックの結果はここ≫

1部を賭けて

Bブロックで2位となったことにより2部Aブロックとの1部昇格をかけた戦いに進出することになった。2部順位戦のレギュレーションとしては

(1)2部Aブロック1位:同志社大学  vs 2部Bブロック1位:大阪教育大学
(2)2部Aブロック2位:関西外国語大学 vs 2部Bブロック2位:姫路獨協大学

という対戦となり

(1)の勝者・・・1部自動昇格
(1)の敗者・・・1部9位・阪南大学と入れ替え戦
(2)の勝者・・・1部8位・大阪学院大学と入れ替え戦
(2)の敗者・・・2部残留

となる。

5月20日にリーグの勢いを絶やさないように望んだ関西外国語大学戦、立ち上がり先制を許しすぐさま追いついたものの前半43分に追加点を入れられ1-2で終了。失点の型・失点の時間帯が悪く決して良いとはいえない試合展開だったがハーフタイムに

『自陣に速く戻ってから前を向いた型で守備に入ること』

『相手はトップに入ってくるボールにあわせてその両横をすり抜けてこぼれ球に絡んでくるので競る者・カバーする者など役割と判断を早くすること』

『1対1簡単にかわされるな・・・不用意に飛び込むな』

と指示した。

後半開始3分で同点とし、その後は相手選手の怪我による退場の戦力ダウンもあったが一方的になり4-2で勝利し初の入れ替え戦に進出することになった。

2部順位戦の結果はここ≫

春リーグに向けてしてきた準備

この春リーグに向けては1月15日(月)〜27日(土)までを自主トレ期間に当て各自で基礎体つくりをさせた。翌週29日(月)から全体練習を始め2月3日(土)にはいきなり試合をするなど各自の自主トレの重要性を感じさせることを視野に入れてスタートした。毎週土日には試合をかなり組み入れ実践の中での体つくりをさせた。試合の結果よりも体の動きの見極めが私の大きな課題だった。そのため自チームの指導に専念するべく協会の業務は入れずに付いて回った。2月26日(月)〜3月2日(金)までは2班に分けて美作で合宿を行った。

今回のリーグにおいてのコンセプトは『攻撃的』。シーズン始動したときからのテーマで入れられても入れ返す攻撃重視で指導を行ってきた。3FWを基盤に3バック、時には4-4-2、時には3-5-2と並びは相手に対して変えてきた。しかし戦術を語るときには必ずシステムが付いて周るが、システムなんてキックオフ時のならびに過ぎない。私の理想は危ないところへ人がいてチャンスのところに人がいる、人もボールもよく動くサッカーだ。そいう意味ではよく理解をして反応してくれた。このわかりにくい指導の下で・・・。

大事な試合前に情報をばらして大丈夫?

このコラムを大阪学院大学の選手やスタッフが見て知ってもかまわない。私はただ自分のしてきたことや考えてきたこと、選手がしてきたことを・・・事実を残したいだけだから。

まとちかサッカー日記 :初代と言われる理由2007-04-10

2007年4月

皆さんこんにちは。この間、年が明けたと思っていたのに、もう4月。桜の季節です。やっぱり1,2,3月は過ぎるのが早いものですね。2007年のJリーグが開幕し、ヴィッセル神戸もJ1での戦いが始まりました。4月末からは、なでしこリーグも開幕します。今年も神戸、いや兵庫チームにはがんばってほしいです。

2年ほど前から仕事の都合でヴィッセルのホームゲームを見に行く機会がめっきり減ってしまった私なのですが、心の奥底ではいつも気にしているし、今でも私がヴィッセルガールをしていた当時からのサポーターの方々、スタッフの方々には大事にしていただいているし、あのときの4年間は私にとって宝物の時間(経験)です。

私の後にヴィッセルガールになった女の子たちからも偶然出会ったりすると、いろんな声をかけてもらえます。今は人数も増え、若い元気な女の子たちがたくさんスタジアムを盛り上げている姿を見ると、応援したくなるし、懐かしく思えます。
中には本当かどうかわかりませんが(笑)、私に憧れて(ヴィッセルガールに)なりました、と言ってくれる子もいるし、私がやっていた頃に試合を見に来ていた幼い女の子だった子が、今ヴィッセルガールをしている子もいます。

よく周りから言われることが、「まとちゃん(ちかちゃん)が初代ヴィッセルガールなんでしょ?」と聞かれますが、実はそうではないのです。

初代ヴィッセルガールは、私も詳しくは知らないのですが、ヴィッセル神戸ができた頃にいたのです。当時も今と同じぐらい人数が多く、数十名いたと思います。ユニフォームを着た女の子たちが、選手入場のときに大きなフラッグを持って、選手が通るトラック(ユニバーの)のところを、旗でアーチのように囲んでそこを選手が入場するのを見たことがあります。その方たちが本当の初代だと思うのですが、私が初代と思われている理由は、試合前、ハーフタイムなどに、ピッチに出て、サポーターの方と一緒にいろんなことをするようになった初めての!?ヴィッセルガールだったからかもしれません。

先ほど話した最初のヴィッセルガールの方が、いっぺんにいなくなったときに、知り合いに「手伝って」と声をかけてもらい始めたのですが、最初はもう一人の女の子と2人で、イベントを中心にお手伝いをし、ホームゲームでは会場の外のテントでお手伝いをすることが多かったのです。でも2年目にその女の子もいなくなって、1人になったときに、スタッフの人で私がタレントの仕事をしているのも知っていた人が、「ここにいるだけじゃあもったいないから、モーヴィー(ヴィッセルのマスコットキャラクター)と一緒にピッチに行って盛り上げてきてよ」と言ってくださり、そこから私とモーヴィーは2個1ぐらいの関係のように一緒にピッチにでるようになりました。

そして私は、たくさんのサポーターの方と盛り上がる快感がとても大好きになって、試合前、試合後ハーフタイムとどんどん出て楽しむようになりました。そういった意味で目立ちだした「ヴィッセルガール」なので、初代と思われているのかもしれません。(笑)
でもだからこそ、私の中での大事な時間だったし、特別な想いがあるヴィッセルガール。
これからも今のヴィッセルガールにはチームからもサポーターからもいろんなファンに愛される存在でいてほしいと思います。

またたくさんの夢や希望を持ったヴィッセルガールの女の子たちが、たくさんの人に夢や希望のエネルギーを注いであげれるような存在でいてほしいです。

サッカーとハート :免疫2007-03-23

私の指導するチームのホームページにも例外なく『掲示板』というコーナーがあり一般の誰でもが自由に、しかも匿名で書き込みが出来る様になっている。先日そのHPで我がチームの選手全員の紹介も兼ねた一人一人のコメントを私が書いたところ誰かはわからないが匿名で『選手に対するコメントに期待されている選手の場合と期待されていない選手の場合との格差がある』と言う批判書き込みがあった。期待されている選手は良いが期待されてない選手においては可哀想だと言う主旨だろう。

評価とは

それについて私は世間で言う”逆切れ”をおこす気はない。しかしいつの世も自分では良かれと思い行動したことが逆に別の人には不快になる・・・ことがある。良くありがちだ。現に私もこうやって人に批判をされるようなことをしてしまっている。不快な思いをかけたのなら自分が素直に考え直すことはまず必要だ。

しかし私に言わせれば選手に対してありもしないコメントは並べられないのと過大評価は出来ないということだ。誰しも良いところもあれば苦手な部分があって当然だ。ポジションも違えば個性も違う、性格も違う。私は今回のHPにおいては選手各個人の良い点を書き次に今後の課題を書いたつもりだった。

そもそも”評価”というものそのものがそういった賛否を作り出す代物だ。今の社会総じて”事なかれ主義 ” ”格差是正” ”出る杭は打たれ”・・・の傾向があり、“天下り”ではないが何かにおいてクリーンに・・・公平に・・・と叫ばれる。今に始まったことではないかもしれないがやたら新聞紙上で見かける。一本5,000円の水は公費かどうか・・・?当然世の中クリーンであるべきでグレーゾーン廃止傾向は強い。実際それを圧倒的に世論は欲しているのが事実だ。

3人の王子様

先般幼稚園でのある出来事のレポートを見た。園内の学芸会かなにかでこんなことがあったそうだ。桃太郎だったか何かの”劇”で保護者が『私の子供に主人公をさせてくれ』という依頼が多くなり先生が苦肉の策で全配役に3〜4人ずつの人選をして劇を行ったというのである。主人公も3人いれば脇役も3人、お姫様が存在する劇ならお姫様も3人・・・みんな3人ずついるという。そういった芝居が成り立つこと事態驚きだがまたそれを聞き入れてしまう幼稚園も驚く・・・しかしそれが今の時代なのだ。そういう現象を作ってしまったのも大人なのだ。グレーゾーンを作ってしまっているのだ。

配役に良いも悪いもない。スポットライトが当たる”主役”は誰でもが出来る訳ではないが、可能ならばやりたいものだ。しかしひとつの劇を作り上げ観客の心を打ち、そして『また観に行きたい!』と思わせるにはそういった様々な”役”なくしては成り立たない。とは言えただ複数の配役が存在していればその“劇”はすべてすばらしいかと言えばそうではないだろう。その”役”の必要性を出演者や裏方さんや“劇”に携わるすべての人がい互いにその“役”を理解するからこそ互いの個性を引き出しあいアンサンブルを奏でる。そして主役が引き立ち演劇全体が人の心を打つのである。それぞれの配役を理解するには台本も読むだろう。様々な配役を経験したり配役の存在そのものを認めることも必要だろう。それでなければ“感性”は高められず芝居の中の”役”の勘所を感じ取れないままの役者で終わる。

宝塚歌劇団の役者が歌を間違えたりするのか?踊りを間違えたりするのか?必死の訓練・鍛錬によりミスは最小限に抑えられ人の心を打つ。今こういった顔・・・今はああいった身振り手振り・・・様々な感性を振り絞って芝居をしているのである。芝居を理解することなくして人の心は打てない。スポーツでも同じだ。ミスをするのなら練習に練習を重ねミスをなくす。練習をせずして結果はでない。雨の日のサッカーは雨に日にしか練習できないのと同じ。芝居は芝居で磨かれる。人間性は人間と接しているときに磨かれる。

肌で感じる感性

3人の王子様・・・子供の・・・いやこれは親のといったほうが良いかもしれない・・・一時的な見栄や華やかさを求める気持ちも分らなくもないが小学校入って二番目の子が大きくなれば上の子の昔の写真はどこかにいってしもた・・・というようにならないように。小さな子供に芝居の”役”の大切さなどそんな難しいことを理屈で解らせようとしても解るとは思わない。解らせる必要が在るかも解らない。いずれにせよ解らせるには解るだろう言い方と言うタイミング、方法が大切だ。

しかし幼稚園や小学生年代にはそれより大切な事がある。ひょっとしたら中学生年代でも大切だと思うが、いわゆるそういった理屈でない部分・・・つまり”肌で感じる”・・・という感性を磨くことを優先させる時期が必要だということだ。

この時期がなければ成長したときに困る。人間の仕草の微妙なある場面で『この人は今○○○って思ってる。だからこうしてあげよう!』といった気配りとか段取りをつけて物事を上手くまとめるセンスがない人間になってしまう。いわゆる“空気の読めないやつ”になってしまうのだ。社会に出たらこういった“段取り力”の高い人間が結果的にビッグになっていく気がする。

免疫つくり

出来れば王子様は一人でいい。他の配役を感じよう。肌で感じよう・・・悔しさが残るならそれでいいではないか。親が一緒になって落ち込む必要はない。逆に子供を諭してやらなければならない。

逆境というのだろうか?“自分の意思と違うこと”に出くわしたときに“免疫”が無かったのは子供ではなく今時の“親”ではないか?世間で言う“天下り反対”  “グレーゾーン廃止”  “公平に” と唱えてはいるものの一方で先生に王子様役の希望を出し、ついには3人の王子様を実現させてしまう。王子の希望を言う前に空気の読める経験をしたほうが良い。一時の配役に一喜一憂せず子供の成長をなぜ見続けられないのか?自分の希望通りにすべてが思い通りに動くはずはない。時には予想と違う事が起こる。公平に・・・といいすぎると免疫不足になりはしないか?現在の社会がそう言う傾向であるからせめてサッカー部のHPくらいははっきり良い部分と改善したい部分を明記してもいいと私は思っている、・・・逆境への免疫を作るためにも・・・。だからといってはなんだがHPには個人の顔写真までは掲載していない。個人への配慮を考えてはいる。一応私も色々考えてはいるのだ・・・空気が読める人間になるために。

サッカーとハート :防衛反応2007-02-19

昨年11月22日から全く書いていないこのコラム。さすがに様々な方々に『どうなってるの?やめたん?』って聞かれる。・・・やめてはいない!・・・が答え。言い訳するわけではないが本当に時間と体調が悪く更新パワーが出なかった。体調悪いといっても病気ではない・・・。

昨年末にJFAのナショナルトレセン業務が立て続けに(新C級コーチ養成講習会のメニュー落とし込み、関西トレセンスタッフ研修会の開催、NTC U-12関西の開催etc)あり多忙を極めてしまった。同時に1月20日に行われた兵庫カンファレンス(C級リフレッシュ研修会を兵庫独自のやり方に改編し国体報告を行った)のパワーポイントスライドの作成と映像編集、そして本業の大学の論文作成、細かいことを言えばサッカー部のHP編集・・・と毎日3:00〜4:00ころまで作業をして朝8:00前に出勤、しかも練習のない月曜日は授業があり休む日が無い・・・というサイクルで睡眠不足であわや通勤中に事故仕掛け(片道60km)・・・といった有様。

しかしJFAの仕事も1月31日を持って任期満了で終了、兵庫カンファレンスも終了、おまけに2・4種対象のリフレッシュも終了、そして論文も無事提出・・・やっと忙しさから開放・・・と思いきや今から長野県戸隠高原へスキー実習に向かわなければならない。今これを書いているのが19日の17:00、バスは21:30出発。出発前に一言だけ書いている状態。

だから今回は短く少しだけ・・・。実習中に書き溜めます・・・出来ると思うけど・・・。

電車の車窓から

今日はスキー実習へ出かける日なので電車に乗って大学まで来た。久しぶりの電車だが姫路駅についてすぐ改札に行くためには先頭車両が一番近い。今日は先頭車両で進行方向の線路をずっと見ながら乗ってきた。昔は先頭車両から見る景色は日ごろでは見ることの出来ない線路景色なのでそれを興味深い景色としてとらえ、どちらかといえば“楽しい”という感覚で見ていたものだった。しかし今日は物凄く恐怖心を持って乗り、見てしまった。恐怖心というと電車会社に申し訳ないことなので言ってはいけない言葉なのだろうが昨今の3面記事を賑わせる電車事故ニュースの影響か恐怖心が頭をよぎってしまったのである。

スポーツにマイナス反応?

そもそも恐怖心というのは防衛反応である。怖いから身構え、万が一のために準備をするという反応だ。いわば前進していく反応ではなく身が縮む・身も心も引いてしまう反応だ。

とするなら防衛反応はスポーツにはマイナスにこそなれプラスにはならない反応ではないだろうか?もちろんスポーツ時の怪我や危険に対する反応としては防衛反応は必要なことだ。だが防衛が『怒られるから怒られないように○○をやっておこう!』という防衛になるのなら、いやこんなネガティブな反応になるのならスポーツにマイナスになると考えるのは考えすぎだろうか?

となると指導の現場でのあり方は非常にこのネガティブな防衛反応を排除しなければならないのではないだろうか?ということである。防衛反応なら良いが防衛本能になってしまったら取り返しがつかないのではないだろうか?いつもおどおどして非積極的になる・・・このようなことが無い様、日々サッカーの原点である【楽しくなければならない!】という感覚を忘れないようにしなければならないのではないか。まあ、競技レベルにも寄るのだがそれでも楽しくありたいものだ。楽しくとは練習したことが出来た楽しさや協力し合えて達成できた楽しさと言う意味で・・・。

だから私はコラムを書き続けたい・・・また読んでください。

まとちかサッカー日記 :カウントダウン2007-02-10

2007年2月前半

 皆さん、こんにちは。今期の冬はとても暖かく、寒さに弱い私にはとても過ごしやすい冬となりました。早々と年が明け、今年の女子1級テストに向けて動き出した今日この頃なのですが、私には、大きなカウントダウンが始まりました。

 カウントダウン・・・・何のカウントダウンだと思いますか?

 あまり自分では言いたくないのですが、30歳までのカウントダウンです。早生まれの私は、2月が誕生日、ずっと20代と言い続けてきましたが、それもあとちょっととなりました。

 私がヴィッセルにいた頃、30歳を迎える選手は、随分年上のお兄さんに見えたし、選手寿命がそれほど長くないサッカー選手にとって、30歳となれば、かなりベテランの域に入ります。だからこそ私にとって30歳というのはすごく重く感じていました。

 30歳になるとどうなるのだろう???

 去年から誕生日を迎えた同級生の友達が、「三十路になっちゃったよ~体が衰えてきた」なんていう子もいれば、逆に30代を楽しみだした友達もいます。

 私も以前のように、睡眠時間を削って仕事ばかりはできないし、友達と朝まで遊ぶという気力はなくなったかも・・・・そういう無茶をしない面では「若さ」はなくなったのかもしれません。(苦笑)でも普段、サッカーをする機会が増えたり、指導者や審判をしている分、体力面ではまだまだ自信があります。幸い、現役でプレーしていた頃も今も、大きな怪我はなく、それがひびくこともありません。靭帯を1度切った選手は、冬になると痛くなったり、動きにくくなったり、また捻挫をした人はそれがくせになったりします。だからそういう面では丈夫な体を持ったことに感謝しています。

 以前からお話したことがある、Lリーグの岡山湯郷でプレーをしている幼なじみもついに引退を発表しました。彼女がプレーしている間にLリーグの主審を務めることができなかったのは残念ですが、これからまた神戸で一緒に楽しくサッカーができればいいなと思っています。

 私が1番年をとったと感じるときは、やっぱり子供の成長をみているときです。
子供たちの成長は早い!!教えてる子も、知ってる子達もどんどん成長し大きくなります。

 先日、電車に乗っていると、偶然ヴィッセルのサポーターの方にお会いしました。私のことを知っているサポーターの方は今でも声をかけてくださることがあり、私はとてもうれしいです。

 その方は、私がヴィッセルにいた頃、小学生の娘さんとよく一緒にホームゲームを見に来てくれてました。その娘さんも私のことを「お姉ちゃん、お姉ちゃん・・・」と慕ってくれていたのですが、その娘さんが今、ヴィッセルガールをしていると聞いてびっくりしました。

 その他、教えていた子供が今、一緒にサッカースクールのコーチをやっているというのも、うれしくもあり、くすぐったくもあり、そして年月が経ったことを感じます。

 20代の私は、好きな仕事をして、好きな活動をし、好きな人たちに囲まれて充実した日々を送ってきましたが、反面甘えていたこともあったと思います。もうすぐ30歳という節目を迎えるにあたって、「なってしまった」のではなく、「なったからこそ」できることを楽しみたいのと、20代で恵まれた日々のことをしっかり活かし、また新たな一歩を大きく進める30代にしていきたいと思います。

 これからもこんな私を宜しくお願いします。

まとちかサッカー日記 :笑顔の理由2007-01-10

2007年1月

皆さん、新年明けましておめでとうございます。最近は、どんどんこの「まとちか日記」を読んでくださっている方が増え、本当にいろんなところで、いろんな方に「見てます」といっていただき、とてもうれしく思っています。が、最近の更新の遅さに少々クレームが・・・・(笑)
「何回開いても更新されてないよ~」って言われちゃって本当に申し訳なく思ってます。
こんなにたくさんの方に楽しみ!?にされているので、今年はもう少しがんばっていきたいです。

2006年のJリーグも終わり、早々と年を越してしまいました。
ヴィッセル神戸は、入れ替え戦の末、なんとか(本当になんとか)J1昇格が決まりほっとしています。入れ替え戦では、アビスパ福岡との戦いでしたが、福岡には監督をはじめ、選手も私がヴィッセルにいたころの方がたくさんいたので正直、心中は複雑でした。
J1からはサンガ、セレッソの関西2チームの降格が決まり、寂しい限りです。サンガ、セレッソもなんとか1年で戻ってきてもらって、来年は関西4チームがJ1で戦ってほしいものです。
今は、選手の引退や移籍の話がとびかってます。女子でも元TASAKIペルーレで、最後は日テレでプレーをしていた川上直子選手も引退を発表しました。
Jの方でも引退、移籍の話が日々入ってきますが、ヴィッセルもしっかり補強してJ1リーグに備えてほしいです。

さて今回は、少しサッカーと外れた話をしたいと思います。
私はよく人に「何か面白いことあったん??」とか「いいことあったん??」というふうに、よく笑う(笑顔)だと言われます。自分ではそんな意識はしていないのですが、全然普通にしているときでも笑っているときがあるみたいです。(もちろん怒ったり泣いたりすることもありますよ。笑)
仕事がら、飲食店で働いているときもモデルの仕事をしているときも笑顔でいるときが多いですが、私の場合(笑顔を)作っているというより、仕事も楽しくて自然にそうなっていることがほとんどなのです。だからというわけではありませんが、街中でもどこでも、怒ってばかりな人やいつもおもしろくなさそうな顔をしている人を見ると「なんで???」と思うことがあります。
怒ってばかり、悩んでばかり、しんどいってばかり思ったり言ったりしていると、周りも自分も楽しくなくなります。
「笑顔は幸せを呼ぶ」「笑っていれば病も飛んでいく」とか言われるように、癌患者が、吉本新喜劇を見に行く治療もあると聞きます。
少々風邪を引いたり体調が悪くても、楽しいことがあれば忘れていつの間にか治ったりします。

知り合いの結婚式やうれしい話を聞くと、自分まで幸せな気分になります。
コーチもしているときも、もちろん得点が決まって勝ったときはうれしいし、子供たちが思わぬプレーを見せてくれたり、いい試合をしてくれたら楽しいし、うれしくなります。

審判をしているときも、選手がちょっとぐらいのファウルやあたりにも負けずに抜こうとするプレーを見ると気持ちいいし、負けてるチームが最後まで一生懸命戦う気持ちが見えたり、両者とも全力で戦ってくれる試合は、とてもうれしくなります。こういうとき、私はきっと自然に笑顔になっているのだと思います。
でも私のこういった気持ちは、初めて会った人やみんながみんなに伝わるわけではないので、時には「へらへらしてる」と見られたり、誤解を生むこともあるかもしれません。
それに真剣な顔つきをしないといけないとき、怒らなければならないとき、そんなときも必要です。
でも私自身は、気持ちを高めて上を目指すには楽しむこと、笑うことが絶対必要だと思っています。
だって、いつも硬く考えて難しい顔して悩んで、やっていてもおもしろくなくてつまんなくなったり、嫌になったら絶対上に伸びないような気がしませんか?好きなこと楽しいことだからこそ頑張れるのです。

最近は変な事件や嫌な事件がよく起こっていますが、今年はたくさんの人が笑っていられ、幸せなことがたくさん増えたらいいなと思います。

サッカーとハート :熱意はすべて2006-11-22

10月20(金)に大阪福島区にある人事院で人事院近畿地区係長研修で講演を行ってきた。ところで人事院というものをご存知だろうか?人事院のパンフレットにはこう書かれている。『行政の担い手である国家公務員を人事面でサポートすることを通じて、国民生活の向上に寄与していく』と。

つまり、人事院は内閣の所轄の下に置かれる、国家公務員の人事管理を担当する中立的な専門機関で、具体的には(1)採用試験の企画・実施(2)給与・勤務時間等の勤務条件の改善(3)勤務条件の具体的決定(4)各府省合同研修等の企画・実施(5)身分保障・懲戒等に関する制度の運営(5)営利企業への再就職審査(7)不利益処分の不服申し立ての審査 などの業務がある。

今回の係長研修は初めて管理職になった“新任係長”に対する研修でありそれらは年5回あるという。そのうちのひとつの研修が今回4日間のスケジュールで行われたのである。その中にはセクシャルハラスメントに関する講義やグループワークなどが施されており私自身も大変興味深いものだった。そして私が担当したものは最終日の講演で、テーマは『組織の充実のために』〜部下職員とのコミュニケーション〜 というものであった。

目標設定

今回の講演は組織の充実というテーマでの話しになったのだがこれは主催者側に言わせれば一般企業界・スポーツ界などいかなるジャンルにおいてもその大小の差はあれ共通したポイントがあるのではないか?それゆえにあえて違うジャンルの人に話を聞くことで何がしかのヒントが得られないか?ということを狙いにしてのことであった。何がしかの組織やグループそれぞれ個々にはその組織なりグループなりの目標を達成(仕事をこなしていく)することは十分な命題であり、大きな成果・結果を産むためには十分な機能を持った組織が必要であるということは皆が共通する望みであるといえる。

私は講演の最初に実はこの当たり前のような“命題”のことから話を進めた。と言うのは目標達成がなぜ必要なの?別に部下職員とコミュニケーションをとらなくてもいいじゃない、別に問題なく物が動けば・・・?と言うところから切り込んだ。そう、機械的にただ仕事をこなしては充実するものもしないし生産性もあがらないと考えたからである。ではもう少し突っ込んでみると次は“なぜ生産性を上げる必要があるのか?”と言う疑問に当たる。生産性があがると言うことは物資両面での量が増加する・・・つまり多くのものが作られる・・・と言う考えがまず浮かぶ。それに基づくならこう考える。どこかしら行政の市民窓口においてしっかり職員が対応していくことで人々が順次手続きを済ませていくことで”希望がかなった人が増えていく“という効果を産む。それと同時にただ単に量(数)が増えると言うことだけでなくそういった”行為“が人々の精神的安定を産むと言ういう意味では心の充実という生産性もありえると思う。

このなんでもない最初の根本をしっかり理解しなくては方法論も工夫も有り得ない。スポーツの世界も同じだ。目標なくしてトレーニングは有り得ない。つまりどんなレベルの仕事、スポーツの競技力であれまず将来目標・最終到達目標をきちっと見据えていないも者には成功は有り得ないと考える。

経験が変える

その後順次話を進めていき、私のつたない選手歴から指導歴における具体的な例を出しながら10の指導哲学を話した。実際研修会に参加した方々にとって参考になったのかどうかは直接参加者と話しをしていないのでわからないが世の中には反面教師という教師もいるので許してもらおうと思っている。

今回、講演をしたというお話をコラムに書いた最大の理由は講演に限らずなんでも“経験というものは人を変えていく”ということを伝えたいからである。以前は講演や講習会を行った際、聴講者の反応もいまひとつでしゃべっている自分でも”うけてないな“”雰囲気悪いな“ということが自ら感じてしまうほどだった。しかし聴講者の反応というものは大きな声で抑揚を付け身振り手振りをいれ相手の目を見て話をすることでずいぶん変わるのである。もちろん慣れや要領(話の組み立て方等)も大切だが大事なことは伝えようとする熱意だ。まだまだ上手くはないがそういった心を通わせる必要性とコツをすこしずつ感じてこられたということが今回の講演会における私のメリットである。

熱意が可能にする

11月11日〜13日においては日本エアロビクスセンター(千葉)で07年度改訂の公認C級コーチ養成講習会のシュミレーション合宿があった。NTCコーチが4月までの間で9地域においてC級インストラクター養成講習会を開催する必要がありその実技・講義の内容のシュミレーションを行ったのである。その場でもやはり同じことを感じ・体験・学習した。NTCコーチたちの前で話しをし会話をし実践するのである。勇気・度胸・テクニック・知識・・・皆必要だ。しかしやはりまず最初に必要なものは熱意だ。

組織を充実させるには目標設定が大切・・・冒頭に書いた事柄。目標を何にするのかそれ自体を決めるのも結局熱意だ。自分の持ちうる少し上の能力を駆使しないと実現できないことやこういう様になればいいなあという具体的な映像を浮かべて目標を設置する。それとてどうでもいいと思う人はもっと低い目標、それどころか目標すらもてなくなるかもしれない。目標を持つこととは熱意があるということだ。熱意があれば実現は可能だ。

自分に出来るかわからない・・・と思われることにどんどんチャレンジをして自らが経験する。すると自分の熱意度もわかり自らを鍛えることが出来る。これから大きな目標を据えている人、前を向いて進んで!

NEVER GIVE UP !

追伸:姫路獨協大学サッカー部ホームページが出来ました。覗いてみてください。&私のブログも作ったので覗いてください。なにか意見を入れてもらえればうれしいです。

まとちかサッカー日記 :のじぎく国体2006-10-10

2006年10月

皆さん、こんにちは。夏の暑さが一気に抜け、ずいぶんと寒くなりました。昼間は暖かいときがありますが、朝、夜は冷え込み、私の周りでも体調を崩す人がいます。皆さんも体調には気をつけてください。

さて、何年も前から準備されてきた「のじぎく国体」があっという間に終わりました。
今年は地元開催県ということで、私はまだ審判2級ですが、参加させていただくことができました。

本大会の開会式がユニバー記念競技場で華々しく行われた9月30日(土)、私たち審判員は三木防災公園に移動し、体力テストを行いました。

12分間走、50m走、200m走を測定し、規定に達しなければ参加できなくなります。走れないことはないだろうと思っていても、そういったプレッシャーで少し緊張しました。

12分間走は、まだまだ距離の記録を伸ばさなければいけませんが、自己ベストが出てよかったです。がんばって走った分、明日からの試合で疲れが残らないように、ゆっくりスチレッチを行い、宿泊場に戻りました。この日の夜は、審判員全員で研修と大会の要項の確認などを行い、1日目が終わりました。2日目から試合が始まりましたが、成年女子の試合は1日遅れで始まるので、この日は少年と成年男子の会場にわかれました。私は少年の試合の第4の審判員に割り当てていただき、アスパ五色の会場に行ってきました。

第4の審判員ってあまり仕事がなく、真ん中で座ってるので「楽(らく)」って思われている方いませんか?私はけっこう、この第4の審判員が苦手です。ベンチコントロールといって、両ベンチのスタッフ、控えの選手がベンチでのルールを守っているかを見たり、交代選手の手続き、ロスタイムの表示、負傷者が出たときに主審の合図でタンカを誘導したり、試合で何か起こってないかチェックしたりなど、どこにも目を離せず緊張感がはしります。もちろん主審や副審は大変ですが、あまり動けない分、緊張感が増したりします。

そんな第4の審判に当たっていた試合も無事終わりました。夜は全員で、各会場での報告会を行いました。

試合2日目からは成年女子の試合も始まり、女子の審判員は加古川と日岡山のグランドにわかれました。女子の試合の1日目は、4試合行われるため、1試合目の開始時間が早く、1試合目に割り当たっている審判員は、加古川のホテルに移動して前泊しました。私もその中に入っていて、夜の報告会が終わるとすぐに、みんなで大きな荷物を持って移動し、次の日に備えました。

成年女子はLリーグの選手が主体の県代表チームが多くて、見慣れた顔ぶれもあったので落ち着いた空気でした。ただ副審が2試合当たっていたので、試合と試合の間に自分なりに休んで調整をしました。

予定ではこの日で私は任務が終わり、帰ることになっていたのですが、もう1日試合の割り当てをいただけることになり、急遽もう1日残ることができました。国体に参加できる機会はそうあるものではないし、たくさんの審判員の人と過ごせるときなので、少しでも長くいてなかなか会うことのできない女子1級の方や、その他の1級の方と一緒にいていろんな話ができてよかったです。こうして開催県の兵庫は、少年3位、成年男子4位、成年女子3位と開催県のプレッシャーの中、選手たちもがんばって、無事終わることができました。

10月14日(土)には、のじぎく障害者大会が始まり、こちらの大会も参加させていただきました。最終日の3位決定戦の主審をやらせていただくことになったのですが、障害者とは思えない選手の元気な動きや試合内容のレベルの高さをみていたので、決定戦の主審に少しプレッシャーがありました。しかし、試合が始まってからの選手のフェアーで一生懸命戦う選手の中で私もとても気持ちのいい試合ができました。障害を感じないほどの思い切ったプレーでこちらが勇気をもらえるような大会だったと思います。試合が終わってからも、負けた方のチームの選手が「いい試合ができました」と話しかけてくれたとき、ほんとうにうれしかったです。

私は、こののじぎく国体でサッカーの競技しか関わってないし、他の競技を見る機会もなかったですが、サッカーだけでなくその他多くの競技の本大会、障害者大会でたくさんのドラマがあったと思います。選手、チームのスタッフをはじめ、会場のたくさんのスタッフや会場に応援にきてくれたたくさんの人たちでできたのじぎく国体は長いようで、あっという間に終わりましたが、とてもいい大会になったのではないでしょうか?これが次へとつながっていけばいいなと思います。

サッカーとハート :国体から今後へ2006-10-10

2006年10月9日(月・祝)に滝川第2高校が高円宮杯全日本ユース大会でついに日本一を成し遂げた。地元のじぎく兵庫国体サッカー少年の部での兵庫チームの3位に続きホットな話題が続いた。

今回ののじぎく国体でのサッカー少年チームは監督を滝川第2高校の黒田先生が勤め、私がヘッドコーチという立場でコンビを組み戦ったのだがさすが日本一を成し遂げるだけあって随所に勉強させられることがあった。

今回はそんな中から国体を振り返ってみる。

3位決定戦後の風景

国体を迎える前のトレセン活動が物を言う

地元で国体開催が決まってどのくらい経つのだろうか?かなり前から対象学年を強化し始めていたような気がする・・・しかも現在の高校3年生を中心に・・・。そう、国体が16歳以下の大会に様変わりをしたのは今回の兵庫国体からであり、我が兵庫県も地元国体のために長期計画での強化を行っていた対象学年は最初、現在の高校3年生・2年生であった。年末に高知へ行き、韓国キャンプにも行き・・・と多くの強化遠征を行ったのだった。

今回の国体メンバーは高校2年生の早生まれ選手が1名、中学3年生が1名、他の14名は高校1年生という構成。彼らを国体の強化対象選手と言う目で観た最初が2005年1月5日のガンバカップ(関西の2府4県の県選抜と大阪の地域選抜代表・J下部組織のチームなどで行う大会。関西トレセン選手選考大会にもなっている)。つまり現高校1年生が中学3年生に進級する前の1月ということになり実質には1年9ヶ月という期間での強化ということになった。こうなると他府県の強化期間とあまり大差がなく、地元国体である優位さ・アドバンテージが皆無に近くなった。

しかし18歳の大会から16歳の大会に代わって開催された今回の国体を経て感じたことの1つに、地元で開催される国体の場合は長期強化計画を立て、ある一定の学年(今回のように地元の国体だから強化する)を強化する、またそのために体協から多額の強化費が補助されるというメリットはあるものの、本当の意味での選手育成としての強化は出来ているのだろうか?・・・と言うことが挙げられる。

つまり地元開催であろうとなかろうと、大切なことは特別な強化策を講じるより日頃からきちっとトレセン活動を行っているかいないかが命運を分けるということである。現に長崎・東京など強豪県が地域予選で敗退している。その府県のトレセン活動状況がどうなのかをしっかりと把握しているわけではないので一概に批判はできないが、どちらかといえばそれらの県の過去の様子を診るに、国体のメンバーは“個人の所属チームで強化”された選手を集めて高校3年生時に1つのチームを作り上げて来たような感じがする。高校3年生にもなればメンタル面も実技面も鍛えられ洗練され傑出した個が成長しており、その時点でセレクトしても十分チームになりえる。しかし高校1年生という段階ではまだまだ色々なパーツが洗練されておらず、個人もチームも形にはなっていない。ということは言い換えれば中学年代やその前の小学校年代からの引継ぎ・追跡指導を行うことの重要性を如実にあらわしているのである。つまり継続されたトレセン活動の成果が現れるということである。

スタッフ紹介・活動の概要

監督:黒田和生(滝川第2高校監督・現兵庫県FA強化部長)、 ヘッドコーチ:昌子力(姫路獨協大学監督・現兵庫県FA技術委員長代行・改革プロジェクト長)、フィジカルコーチ:菊池彰人(ヴィッセル神戸育成スカウト)、アシスタントコーチ:小森康宏(滝川第2高校コーチ)、GKコーチ:山根誠(関西学院高等部監督・前兵庫県FA GKプロジェクト長)、トレーナー:前川慎太郎、主務:藤本憲幸(明石養護学校・前兵庫県FA3種技術委員長)、副務:前田信利(吉川中学校監督・現兵庫県FA3種技術部長)という顔ぶれで構成されたスタッフで国体を戦った。

2005年4月1日〜2日に姫路獨協大学で行った強化合宿を皮切りに33回の合宿を行った。宿泊延べ日数で言うと54泊。練習は2週に1回、火曜日の17:30、王子競技場を主会場に行った。1年は57週ある、1年9ヶ月となると約90週になる。ここから単純に計算してみると、90近くある土日のうち54回分の土日は宿泊を伴っての強化合宿をしたことになり、加えて90週のうち2週に1回は練習をしたとしたら45回の練習を行ったことになる。トータルすると99回(約100回)の活動を行ったという計算になる。1年9ヶ月≒635日だから100回の活動とすると6.3日に一回国体のトレーニングを行っていたことになる。つまり毎週練習をしていたと同じような回数になっている。

試合前、宿舎でのミーティング風景

実際には藤本先生はほぼ皆勤に近いものの、私を含め他のスタッフはトレーニング・ゲームに行けない日がいくつかあった。自チームのトレーニングは当然のことながら毎日・毎土日行っているので、私も朝姫路に行って自チームのトレーニングをしてから国体チームに合流することが多かった。こういった状況になると特定のスタッフにしわ寄せが行くので申し訳ない思いが募る。大会前も9月26日から事前合宿を張り、3位決定戦のあった5日までグリーンピア三木に泊り込んだ。加えて自分個人としては9月29日・30日と1泊の予定でJヴィレッジに飛び、公認B級コーチ養成講習会後期のシュミレーション合宿に参加し、再度国体に合流するというハードなスケジュールもあった。

ナショナルトレセンコーチの仕事のひとつ

そのシュミレーション合宿というものはB級コーチ養成講習会の後期に行う実技や講義の内容をナショナルコーチ・インストラクターが集まり実際にシュミレートして確定していくものである。今回、後期講習会に予定されている実技の“クロスに対する守備”というテーマが私には与えられ、私がそれについてトレーニングメニューを考え事前に事務局に提出、当日トレセンコーチ・インストラクターの前で40分強ほどの指導を実際にやってみるのである。その行った実技内容に対して講習会で採用するにはオーガナイズが良いとか変えたほうが良いとかを「あーでもないこーでもない・・・!」と喧々諤々話し合い講習会の実技としてふさわしい内容のものに作り上げていくのである。はっきり行ってJFA技術委員長やトレセンチーフ・指導者養成チーフ等々大勢の中で長時間指導の実践を行うのは気が休まるものではない。しかし自分のメニューが採用されたり(実際全部採用になった・・・笑)すると自信になりうれしいものだ、この年になっても・・・。終わって飛行機で速攻帰り、家に寄ることもなく宿舎へ・・・。家もだが職場に席があるのだろうか・・・?心配だ。

チームコンセプト

国体チームのコンセプトは『単独チームのように!!』である。選抜のメリットはいくつかあるもののトレーニング回数が少ない分、積極的なコミュニケーションをとらないと意思疎通がおろそかになる。それでなくて練習回数が少ない選抜、ましてやリーダーシップを採る・チームを引っ張る・・・と言う選手はなかなか出てこないものである。

数々の選考会・練習会をこなし夏休み期間はおおよそ23人の選手で行動をした。23人で活動をすればするほど最終16人に絞ることがつらくなる。実際に8月末の韓国キャンプは最終選考キャンプとなり、国体エントリー16名の発表を現地で行った。帰りの飛行機の中は明暗くっきり。選漏れしたものは大粒の涙。残ったものは慰めの言葉を掛けつらい・・・。しかしそれも勝負の世界。我々は選漏れの選手にしばしエネルギーを使った。

9月に入り最初の火曜日の練習、不思議と食いつきがよい。選手はどこかに『落選したらどうしよう』『まだ16名に入ってないのに偉そうに物言ったらアカン』とでも今まで思っていたのだろうか?呪縛が解けたようにトレーニングにおいて積極的に声が出て活気が漲っていた。

国体チームつくりのトレーニング

韓国キャンプでは戦術面で『守備におけるチームとしての約束事の意思統一を図る』ことを最大のテーマにし、数々のシュミレートを行った。2トップのマークの受け渡し、センターバック2人同士の受け渡し、センターバックとサイドバックの受け渡し、相手サイドハーフに対するマークのつき方、自チームのサイドハーフのマークポジション、フォワードのボールの追い込み方etc・・・。本番できちっと出来たかどうかは評価するなら60点くらいの出来と考える。結果、相手のミスに助けられた場面がかなりあったから。

攻撃においては個の技量を前面に押し出しことをベースとし、そこからいかなる攻撃パターンに入ろうと必ず付いて回る必要条件の精度アップを攻撃トレーニングの柱とした。つまり『動き出す速さ』であり『やり通す強さ』、『肉体・メンタル両方における粘り強さ』、『スキル精度』などである。これらがアップしたところに個の技量を載せていけば勝算ありと考えた。

試合前のロッカールームのホワイトボード

実際の現場で

岩手・静岡戦において選手は良く頑張り一定の成果を出せたと思っている。しかし、準決勝の千葉戦は完敗だった。戦術面・スキル面を含めメンタリティーも劣っていた。しかし何よりも決定的に兵庫の選手においてレベルが低いと感じたのはベスト4に入って満足している点である。選手もスタッフもある種の達成感を感じてしまっているのである。もちろんPKであろうと静岡に勝った事は大きな出来事で簡単に成せる事ではないとも思っている。実際に6:4で優勢だったとの評価も聞いている。その分喜びも倍増するのはわかる。しかし、現実は1-5。大阪選抜は千葉に優勢試合を行いながら0-1の敗戦。くじ運が違えば大阪が優勝していたかもしれない。準決勝の前に選手の目を覚まさせるショックを与えなければならなかったのである。

準決勝戦後、3位決定戦を翌日に控えた4日の夜、当然のように私は吠えた。本当に勝つ気があるのか?何が今一番必要なのか?そして今の自分たちはどういう状態なのか?そしてはっきり今のままでよいのか悪いのか?YesかNoを言ってやる必要があった。累積でひとり、一発退場で二人が3位決定戦に出られない状態の中、本当にしなければならないことをはっきりさせる必要があった。終盤、3点を取られ一時は冷や冷やしたものの結果4-3で勝利し、開催県の最低得点稼ぎは果たせた?と思っている。

勝てないことに慣れっ子になっていないか?

私は何が言いたいかというとベスト4に入っても浮かれない、決勝進出・優勝するのが目標・・・そういってのける土壌が兵庫・神戸に欲しい。王国復活とは名ばかりで選手・指導者両方にあらゆる手を尽くしてでも勝つための最大限の努力をしているか・・・を問いたい。あらゆる手というのは試合中、質を伴わずに手段を選ばずに何が何でも勝つということではない。むしろ質を伴って勝たなければならない。試合前の準備や環境整備・・・ハード面もソフト面も両方の周到な準備をして勝利を勝ち取るということである。

ベスト4で達成感を感じているということは如何に全国レベルでベスト4に入ることがないか?ベスト4に入ってもいつも準決勝で負けているか?を如実にあらわしているのである。選手は毎年入れ替わり新陳代謝していく。しかしスタッフはある程度継続して指導を行っている。自分の指導チームが全国大会に出場することがないのならせめてチームを連れて行けないにしても自身個人が全国大会の様子・雰囲気を肌で感じに視察に行くくらい本気なって全国を戦わなければ県選抜(市選抜)は強くはならない。戦うということは指導の現場のトレーニングメニューだけでなくチームを運営することである。ハード面・ソフト面の準備(何が必要でそれを誰がどのように準備しどうやって選手に伝えるか)が勝つという目標を達成するのに必要だということ自体を体感しなければならない。こういうとまた違った意味でとられかねないが・・・要は本気なら視察に行くくらいの気がないと兵庫を変えられないということである。

準備

今回の国体チームのスタッフはメンタル・戦術のソフト面担当と食事・間食・宿舎周り等のハード担当の役割を前もって決め、きめ細かく動いた。そして兵庫FA技術スタッフの力も結集し、対戦相手と自チームのビデオ撮影を行った。そういった組織の力の終結が3位という結果をもたらしたと思っている。そして毎試合終了後、私と菊池コーチとで、自チームと対戦チームの映像を全部見直し、相手の攻撃の特徴と守備の弱点を編集した。その映像を使って試合当日午前中のミーティングで相手チームの対策を立て伝えた。加えて毎試合宿舎出発時と会場でのウォーミングアップ出発時にモチベーションビデオ(過去の映像や苦しいトレーニング風景・試合の良い場面を8分の映像にまとめ音響効果をつけたビデオ映像)を見せテンションをあげた。だから私はいつもプロジェクターとスピーカーを持って歩いていた。

分析ビデオでのミーティング

テクニカルレポート

今回の国体においては2種・3種の技術スタッフのパワーを結集し、かなり多くの試合をビデオに収めた。年末から年明けにかけて分析ビデオ・レポートを作成する予定である。兵庫県サッカー協会技術委員会も神戸市サッカー協会技術委員会もテクニカルDVDを発行する予定にしている。兵庫県サッカー協会の技術委員長代行(2007年度から委員長就任予定)と神戸市サッカー協会技術委員長を兼ねる私の2006年度は映像三昧。ちなみに県も市もテクニカルスタディグループ(2種・3種技術委員から推挙)を編成し分析に当たっている。

今後のアベレージ

最後にこれを伝えなければならない。今回の3位に対しては良いという意見と悪いという意見両方あるだろう。しかし3位になれたことは国体スタッフが国体に向けて頑張ったのではなく、先にも触れたが兵庫県トレセンシステムに関与したスタッフ、13都市協会のトレセンスタッフ、協会内の組織運営スタッフ、保護者、サッカーファン(国体期間応援に来てくれた日とあまりに多くて驚きと感謝)すべての力の結集である。特にトレセンに携わったスタッフの地道な努力がU-16化に即対応できる結果を生んだのである。長崎・東京に出来ないものが兵庫にはあったのである。

そしてこれから県トレセンシステムはベスト4では満足してはいけないということを合言葉に日々のトレーニングの質と環境を上げていかなければならない。それでなければ1996年〜2006年にかけて行った兵庫県サッカー協会技術委員会強化10年計画の継続・発展にはならないのである・・・・国体で3位になってしまったのだから・・・。

サッカーとハート :クラブの伝統2006-09-13

少し充電期間を・・・。

気がついたらもう9月・・・この間に色々な事があった。

前期授業が始まって終わって・・・学生サッカー春季リーグが始まって終わって・・・ドイツワールドカップが始まって終わって・・そして夏休み突入・・・。夏休み期間中には天皇杯県予選・各種フェスティバルと続き、平行して国体のチーム強化・関西トレセン行事・JFAの仕事・・・。あっという間の6ヶ月・・・。

多くないとは思うがこのコラムを読んでいただいている方々がいるとしたらたいへん長らくお待たせ。この間、ネタを仕込みたくさんの話題を提供・・・と行きたいのだがどうもゆっくり机の前に座れない。優勝至上命令を言い渡された国体本番が目前に迫るという状況の中、同時並行で始まる後期授業の準備がいまだ出来ずにいる。『こころコラムにあらず・・・』ではいけないと思いつつも今は大学のマリンスポーツ実習で徳島の海と格闘。雨・強風の悪天候の中、海に向かって船をこぐ・・・どうも心、ここにあらず・・・何もかもが中途半端になってはいけないと思いつつ目の前のことに集中。すると夜はぐったり。ぐっすり寝るとコラムが書けず・・・と行きたいのだがこれまた睡眠が中途半端。   
結局、得意の愚痴か・・・・。

少し古いが春季リーグのひとコマから。

4回生・・・

関西学生春季サッカーリーグが4月〜5月上旬にかけて行われ、我が大学は2部Aリーグにて準優勝を勝ち取り、1部8位関西学院大学との入替戦に挑むチームを決める代表決定戦に進出。Bリーグ2位の関西外国語大学と対戦した。ゲームプラン通りに進む部分とそうでない部分が理由も含めはっきりわかる試合を展開。2-2から延長戦を戦うも決着はPK戦へともつれ込んだ。結局4-2で敗戦を喫し入替戦に進出できなかった。初めて4学年揃った2006年がスタートし念願の1部昇格は秋季リーグに持ち越された。同時に私が就任した獨協大学サッカー部を一緒に押し上げてくれた4回生に1部での試合経験をさせてやれないことも決定。悔しさ倍増・・・後悔が多くなったリーグだった。

精神的ダメージのあるミスは同じミスでも絶対にしてはいけない

関西学生リーグ2部Aブロック2位 vs Bブロック2位との戦い、つまり全体の3・4位決定戦となるのだがそこで勝てば1部8位(10位は自動降格、9位は2部総合2位と入れ替え戦)との入れ替え戦に進出できる。負ければ総合4位で2部残留となる。我々は結果4位となり関西学院大学との入れ替え戦に進出できなかった。まあ、結果的なことは別にせよここでも教訓を得た。

後半15分過ぎから相手がトーンダウンしてくるというスカウティング情報によりそこまでは我慢、60分からが勝負・・・つまり前半は0-0でOKと戦い方を指示。しかしながら前半中頃に先制点を許してしまう。何とか前半終了間際に追いつき、ドローのままハーフタイム。ハーフタイムでは再度戦い方を確認。ポゼッションは6:4から7:3で上回りだし、攻勢をかけようとした後半15分過ぎ、カウンターで失点を喫す。こういうところにまだまだ甘さが見られ弱いチームの典型である。やはり2部に甘んじるチームの弱さだ。

バレーボール日本代表女子の試合をTVでよく見かけるが、なぜ全日本女子がベスト6以上いけないのか・・・?もちろんスキル・体格・戦術など課題はあろうがいつも気になるのが、ナイススパイクを決めた後のサーブである。かなりの確立でミスをしている。ただ相手に拾われたではない。サーブミスをするのである。ネットに掛けたり、ラインアウトをしたりするのである。せっかく得点をしても1本のサーブミスで1得点が1失点になり、結果同じことになってしまう。加えてゲームの流れという側面から見ても精神的ダメージの残る“ミス”になってしまう。考えてみよう、「さあ、いくぞ!!」というときにガックリである。「せめてコートに入れておけよ!」という話である。こういう現実が起こったらプロの世界では簡単である。ミスを重ねる選手は試合の機会を失う・・・ただそれだけである。日本女子バレー界は人材がいるのかいないのかわからないが、叱咤激励しながら監督は使い続ける・・・復活するのを信じて。
まあそれもスポーツの良いところであるのだ。

バランス感覚

春の我々のチームも同じ状況だった。プレー面で失敗してもその選手自身の経験になったり今後のチームつくりに影響を及ぼしてくれるだろうと思えばこそ、その選手を試合に使うのであって誰でも何でも試合に使うわけではない。そこにはそれ相当にその選手が努力をしたという“跡”が見えたり、実際に試合で“結果”を残していったりしていればの話である。それでやっと“試合に出る”というチャンスを掴んだというのであってそこから先はまた別問題である。結果を残すことが大切であり、残らないにしても期待を抱かせるパフォーマンスは見せたとか“結果”や“期待”は無いが間接的にチームに好影響を与えてくれた・・・などという部分がポイントになり次節のメンバー選考の土台となっていくのである。いくら良いスパイクを決めてもダメージの大きいサーブミスをしていては問題外である。一回ならまだしも何回もとなれば“いわんやサーブミスおや”である。

我々のチームでは試合に使って欲しいと“努力”を見せる選手がいる以上、試合出場組の試合時におけるミスに対してはシビアに行きたい。時節のチャンスは無し・・・と考えたい。ただ、今節に試合に出場できなかった選手のほうに努力・好影響・ポジティブといったレディネス要素があるというのが前提である。

ミスした選手を使い続けてプレーを修正し努力は報われると精神論を問いていくのも大切、しかしその一方で「努力しているのにちっとも報われない。」という選手が増えていくとするなら、良くないチーム運営の状態といえる。指導者はそこの当たりのバランスを良く見て、よく自分で感じ、良き反応を示す・・・ことがチームを動かす必須条件である。こういった意味では指導者は最大公約数を割り出す能力、バランス感覚に秀でていなければならない。

人間力

ゲームに戻ろう。もう1つ大きな話題が残されている。

1-2にされた後、後半もすでにロスタイム。そこで奇跡的にCKからの同点弾。延長へと持ち込んだ。春季リーグでは非常に粘り強いゲームを展開することが出来ていた。0-2を後半で3-2にした大阪教育大学(前季は1部在籍)戦、0-0で終わりそうな試合をPKで1-0勝利した神戸国際大学戦、一人少なく押されながらも0-0で逃げ切った大阪商業大学戦等々。

同点に追いついた我々が俄然活気付くのはおおよそ想像が付くところ。イケイケの勢いで攻めるも跡一歩ゴールに届かない。そして勝負はPK戦へと持ち越された。延長戦終了の笛が鳴ると選手達はベンチ前に戻ってきた。私は誰にPKを蹴らそうかと選手の様子をじっと見ていた・・・一人ひとりの顔を見ながら。下を向くもの、気合の声を(ある種奇声ともいえる)あげて戻ってくるもの・・・様々である。4回生には蹴らせたい、4回生に1部の経験をさせるには・・・とあれこれ考えて順番を決めた。そして伝えようとしたとき「あー 足がもうアカン!」といったようなネガティブな発言が耳に入った。私は今この瞬間・このときがいかに大事な場面であることかは重々承知していた。勝つか負けるか本当に大きな局面が目の前にありあることは百も承知。誰もが「キッカーがミスをしないように縁起でもない事は言わないように・・・」と気を使うような場面であることも理解していた。しかしここは今後のチームつくりにおける悪い凡例になってはいけないと、選手全員に試合の状況をそっちのけで、そのセリフに関することを叱った。人間そんなに強くない。時には弱気が出るだろう。しかし時には人のために自分を奮い立たせ演技をしてでも力を貸すときがある。反対に借りるときもある。窮地に陥ったときこそ“人間力”が出るのだと。その私の考えには全くもって逆の行動であったのである。PKの緊張した場面を目前にまさか監督から精神論のお説教が出るとは・・・。選手が萎縮したのか考え込んだのかはたまたやる気を無くしたのか結果2-4で敗れた。悔しく、後悔もしかけたが、結果私は説教したことを後悔していない。もっと大切なことを伝えられた気がするから。

しかし何が許せないかといえば、そのとき私が選んだ選手は結局蹴らなかった・・・。5番手がはずしたら負けるという場面で1回生が出てきた。はずして負け、それを許す上級生にも腹が立つ。このコラムを我が部員が見たとしたなら、ポジティブになれといいたい。これを見てぶつくさ言うのなら、単なるわがままサッカープレーヤーでしかない。

トレーニングのリアリティ

今回話をしたい本当のことは、誰がPKをはずしたとか入れたとかではない。サッカーに限ったことではないだろうが、窮地に立たされたときや決断を迫られたとき、あるいは逆境に出くわしたときに、人は本当の自分の姿が現れるということ。そしてそれらを克服し真の強い人間になるためにはそういった場面に出くわさなければ克服のトレーニングが出来ないということである。雨の日のサッカーは卓上では出来ない。雨が降ったピッチの上でしかトレーニングできないのと同じである。言い換えれば指導者も選手も並大抵のトレーニングでは克服できないということにもなる。そのリアリティを再現できたときに初めてそういった状況トレーニングができるのであるから・・・。

追い込むトレーニング・・・絶対必要である。警察官採用時の面接は通称“圧迫面接”といわれ面接官が受験者を怒鳴り迫り、大きな声で脅かしびびらせるのである。そのときにシドロモドロになったり、たじろいでしまったらその時点で不合格になるとさえ言われている。日本の平和と安全を守るためには六法も大切だが、勇気とハートが必要なのである。その公務員警察官試験に合格させるためには、リアリティのある面接トレーニングが必要なのである。我が大学ではそういった模擬面接のスペシャリストがいる。

面接試験に関しては行えることがサッカーの場面ではトレーニングできない・・・悔しい話である。

そしてもう1つ大切なこと、それは意図してなのかしなくて偶然なのかは定かではないが、幸いなことにそういったリアルな経験をした選手は当然強くなっていなければならないし、他の未経験の選手を育て上げていくべく経験談・経験地を共有していかなくてはならない。そしてそれがクラブの伝統になりクラブのIDENTITY(固有性・独自性)になるのである。悔しい対戦、上位進出に王手を掛けた時代から飛躍の時代・・・これから様々な歴史が今後刻まれていくのである。それらすべてがクラブの伝統になっていかなければならないのである。

次回はリーグを終えた後のころに感じたお話を・・・。

ちなみに・・・ 姫路獨協大学サッカー部のホームページを開設。まだ私が1人で書き込んでいる状態なので工事中のページが多いのだがよければ覗いていただけたらと思います。