サッカーとハート :久しぶりに寄稿2018-07-05

ベルギー戦直後の雑感。数日経てば様々な人が色々な目線で思いを述べているが今回の昌子の雑感はどう思われますか?

2018.7.3(tue)
W杯 16ラウンド vsベルギー

単純にサッカーの試合の評価としたら”2点リードしてから3点入れられて負ける”事は良くない試合と言わざるを得ない。

しかし試合評価の視点は様々な背景によって沢山あるので高評価もあれば低評価もあるだろう。

今日はいくつもある視点の中からこれを…。

後半14分、日本は初めてのコーナーキックを得た。私のメモには『初CK』『カウンターに注意』→ベルギーカウンター精度ブレると書かれていた。

その30分後にCKからカウンターを受け、一番入れられたくないアディショナルタイム決勝点を喫するとは…。

日本でサッカー指導をしていると「2-0は一番怖いスコア」と良く耳にする。しかしイタリアやドイツ(過去10年、毎年イタリアとドイツに研修に行っている)ではあまり聞いたことがない。サッカーはそもそも点を入れられたら点を入れ返す競技。裏返せば1-0でも2-1でも2-0でもどんなスコアであれリードされたら攻め、リードしたら追い詰められない術が必要であり必須事項なのである。なにも2-0に限っているわけではない。
思い返せば大切な試合後に「リードしてから守りに入らず攻めれば良かった」「攻めるのか守るのかハッキリさせなければならなかった」と言う種のコメントを何回聞くことか。今回はどうだろうか?意思は統一されていても結果は出なかったわけだ。
勿論ワールドカップと言うハイレベルな一瞬の気の緩みも許されない戦いの中でメンバー、ベンチ、スタッフの全員の意思をブレずに合わせて試合を進めていく。そして結果を出すことは並大抵な作業ではない。

しかしだ、この聴き慣れてしまったフレーズにどう対処し改善して行くか?この日本の弱点は言い換えれば日本の課題(改善点)でもある。

2失点目のアザールのクロス、おそらくあまり中を観てクロスを上げていないだろう。 “あの辺り”  という感じだったり一瞬チラッと観てクロスをあげている。合わせたフェライネも “この辺り” と待っている。長身選手だから出来るのかと言うとそうではない。互いのサッカーセオリー、定石がシンクロしているから得点につながるのである。

つまりこのシンクロこそが…サッカーの定石を理解することこそが…極限での戦略判断、方向性決定の能力につながるのではないかと思うのである。

育成年代の試合で急いで攻めたりスピードをコントロールして攻めたり相手や試合背景を考えて”変化する”事を指導者が求める事があるだろうか?またその様なトレーニングを実施する事があるだろうか?あまり難しい事までは兎も角、『味方の動きを活かすために(今自分はドリブルをせず)パスしよう』とか『味方を活かすために間を作ろう』と言うことを求めているだろうか?そのためにボールを”30センチ動かしたり1秒保持したり…”と言った選手のアイデア、自立、自律、判断を必要としているのだろうか?(必要とした試合をこなしているのだろうか?)

勿論それらを実践する為のスキルを身につけることが訓練されていかなければならないがスキルを身につけることだけがメインになってはいないだろうか?スキルはどんなタイミングでどんな結果を出すために使うのか?の目的があってこそスキルである。サッカー選手としての自律の場を提供し判断の材料を与え促す事が日常のトレーニングの中にあれば戦況に応じたプレーを選択する能力(のベース)はA代表になった時には持ち得ているという事になる。

A代表のハイレベルのステージに挑んでから初めて「良い経験だ」では何年経っても変わらない。”良い経験”はA代表でするのではなく日常からしておいた方が良い。

つまりA代表の敗戦は育成年代の宿題である。

追伸

アディショナルタイムになってからほんとうにCKで点を取りに行くべきか?あのまま外でボールをキープして延長戦に突入する選択肢も無いわけではない。まあ最も延長戦で相手を上回る力量があればだが…。