サッカーとハート :互いを見る力・思いやる力が秘訣2005-11-01
JFAが推し進めるリフレッシュ研修
10月30日に我が大学グラウンドにてJFA公認A・B級コーチリフレッシュ研修会が行われた。これは与えられたテーマを元に各人が指導案を作成し、実際に指導の実践を行うものである。指導実践を行う対象となる選手は我が大学サッカー部員。
2004年度まではJFA公認A・B・C級とも各都道府県ごとに行われる座学研修を受けるだけで指導者資格は更新されていたのだが、2005年度より各ライセンスともポイントを4年間で40取得することが義務付けられた。ポイント取得の研修会は5ポイントしかもらえないが時間が短くて済むものや今回のように20ポイントを取得できるが少々指導の実践と言う難題な研修会もある。それぞれ各人が時間と期日の都合に合わせ、4年間で取得すれば良いというわけである。
今回姫路で行ったのは、私が2005年度から日本サッカー協会のナショナルトレセンコーチと指導者養成のインストラクターを兼務することになったためであるが、実はこの資格更新用のリフレッシュ研修会には少し条件がついている。C級は昨年までのように都道府県ごとに管轄・開催され、その研修会は都道府県ごとに配置されている47FA(Football Assoccietion)チーフインストラクターが講師を勤め、受講終了の承認をしなければならない。一方公認A・B級は管轄・開催団体は関西サッカー協会となりナショナルトレセンコーチがリフレッシュ研修のインストラクターを務め受講終了承認を発行しなければ資格更新は認められないというシステムである。そういった事情もあり2005年度に5回行う本研修会を私が所属する姫路獨協大学にて行ったのである。実は1月14日にもう一回行う予定である。
日本サッカーの競技力向上は“目から鱗”?
さて、そのリフレッシュ研修会であるが今回は県内の指導者8名が参加。いずれも県下では中学・高校年代の県トレセンや支部トレセンのスタッフを務めており、研修会の質は高く取り組む姿もすばらしく私自身も勉強になった。今これを読んでいる人の中にも経験のある方がいると思うが指導の実践と言うものは決して気持ちの良いものではない。我々インストラクターの前で指導を行い、終わってから「あそこが○○だ!」とか「△△をもっと直さないと指導の意図が伝わらない」とか文句を言われるのである。(私は文句を行っているつもりは無いが…。)『参加費を払って、しかも遠いところまで行って何を文句言われなければならないんや…。』とお叱りの言葉が聞こえてきそうに思う。
しかしここが現在の日本サッカー界が他の競技団体を押しのけて急激な発展・競技力向上を果たしている要素である。確かに直接日本代表選手を輩出したり直接指導をしているわけではないが、こういった研修を通して全国の指導者のベクトルがおおむね同じ方向を向き、互いの切磋琢磨を呼び起こし、レベルアップを生んでいるのである。これは間違いの無いことであり手ごたえを感じている部分であり確信がある。そして自分もそうなのだが人の指導を見て「ああでも無い、こうでも無い」と自分と置き換えたり人の指導の良いところを感じ取ったりすることで“目から鱗が剥がれる”状態になるのである。今回、私もインストラクターをしていながらも鱗は剥がれていった。今回の指導実践のテーマをいくつか掲載してみると・・・
A級
- センターフォワードを使った攻撃(崩し)の改善
- 最終ライン守備の改善(ボランチを含む)
B級
- ディフェンディングサードにおける1対1の守備の改善
- クロス及びそこからのフィニッシュの改善
- ボール保持者から離れたところでの(OFFの場面)相手のプレッシャーをはずす動きの改善 等等
こうやって見ると難しそうな感じがすると思うが皆さんはどう思われるだろうか?トレーニングオーガナイズを考えて指導をしてみては?
指導の実践の難しさ・大切さ
実はそれぞれにはやはりキーファクターがあり押さえておかなければならないポイントがあるのである。そうしてポイントを押さえながらも結局改善しようとする場面が頻繁に出てくるオーガナイズであるかどうかに我々インストラクターは目を配る。
つまりトレーニングメニュウーにおける場の設定の大きさはどうだろうか?条件付けはどうだろうか?制限は?範囲は?ゴールキーパーは入れるの入れないの?時間配分は?コーチの立つ位置は?・・・・考えれば限が無いくらいにたくさん我々にはチェック項目がある。先にも言ったが人に見られているというのは嫌なものである。しかしそのプレッシャーの中でそれらの条件をさりげなくきちっとこなし、尚且つ選手がトレーニング前より改善されていなければならないのである。
「15分じゃ改善できるわけ無いじゃないか…?」と言う声も聞こえそうだがじつは15分で改善できるのである。(恒久的な改善にはやはり時間をかけたほうが体にしみこみ、本当の実力になっていくのだろうが…。)はっきり言って場数だろう。だからこれらの指導実践にトライしていくことは全く持って指導の力が向上していくのである。指導実践を行った回数ほど自信・言動の裏付けができ、選手にも他の指導者にもはっきりと意思・狙い・ポイントを伝えることが出来る。だから私は指導実践と言うものが大変ではあるが如何に大切で、子供のためになるものであるかを切に訴えたい。
指導者・保護者・その他の関係者…皆がそれぞれの大変さを…。
保護者・あるいは周りの関係者はそう言う意味では指導者が如何に自分を磨いているか、影でどんな努力をしているかなどを理解する必要はある。指導者のそういった日々の努力も何もよく分らない状態であるにもかかわらず批判をしてはいけない。
しかし言い換えれば指導者も一緒だ。逆に選手個人の努力・選手の各家庭の努力(どれだけ練習に通うのに努力をしているか)・日々指導者の見えない部分で家族がサポートしているのか…を見なければならない。今回は指導者の苦労を書いたのだが選手やその家族も努力・苦労をしているのである。自分の世界のことだけ見て・考え・主張をすれば相手とのギャップが生まれるのは当然である。相手の立場を思いやり、ひとつ引いたポジションで相手の状況を察し・考慮して会話を進める必要を大いに感じる。
私も20年、小学生・中学生・高校生・大学生と指導してきているがチャンピオンシップ志向が高まるほど保護者の意向は強くなる。当然といえば当然である。しかし、だからこそ自分の状況・立場を考慮しつつ保護者の意向を汲んでいくことが出来れば強力なタッグが組めるだろう。しかしすべての場面において聞くことが良いとは限らないかもしれない。多少は独裁的な部分も必要だろう。しかしそれが受け入れられるのも結局、日々の様子と人間性なのである。
追伸 〜 ナショナルトレセンコーチになって
毎月のようにナショナルトレセンコーチとしての研修、B級コーチ養成講習会シュミレーション合宿、ナショナルトレセン研修U-12/U-14/U-16シュミレーション合宿。加えて実際に我々がシュミレートしたものを現場で降ろしていく研修会を開催。毎週とは言わないが結構多い。やはり比例するように今年の姫路獨協大サッカー部のリーグ成績は良くない。選手に悪いなという気持ちと還元できるという気持ちとの葛藤の日々。しかし人間、人生は一度きり。自分は常々“充実した人生を送りたい”、“戦える人間になりたい”、“戦い続けたい”と思って生きてきている。
サッカーで飯を食ってきた自分はプロのサッカーチームに追われ大学に。いわばレッテルを貼られた?っていう感じ。やはりJリーグと言う世界はいうてもサッカー界の最高点。そこからはみ出た自分はなんか情けないかも・・・という気持ちは大いにある。しかし次なる野望は“みなの鼻を明かしたい”と。Jの世界に勝るとも劣らない自分自身への納得・価値観は・・・というとJFAの仕事か再びJのステージ。いつかやってやると思いながら4年目。2005年2月、JFAの田嶋幸三技術委員長・山口隆文指導者養成チーフ・JFA技術部松田氏より打診あり。ここで受けて立ち更なる飛躍を目指す。そしてその次なる目標は・・・。あるけど今は内緒。どこかで誰かは見ているのだと感じる。
しかしここで安心は停滞の序曲。常に改革・前進・戦う。今、兵庫県協会の中でも2006年兵庫国体以降の兵庫サッカー界の改革を任された”改革プロジェクト”を立ち上げプロジェクト長に。年間通じてのトレセンデーの設置、エリート指導者養成カレッジ構想、テクニカルレポート構想、女子委員会活性化、身障者サッカー援助等々改革・発展させることがたくさん。戦い続け目の前の障害を乗り越え画期的なサッカー協会を作りたい。そう思う毎日。大学の論文も書かねば・・・。
そこで一言。一緒に改革に動いてくれる人材・これらの情報発信のホームページ立ち上げの手助けなど援軍求む。戦うエネルギー余っていませんか?ぜひ連絡を。