サッカーとハート :有言実行~母は強し~2002-11-26
11月22日~24日の3日間、広島広域公園球技場にて第14回全日本ママさんサッカー大会が開催され関西地区代表として出場したアジュール兵庫(兵庫県ママさんサッカーリーグ登録選手の選抜チーム)が結成3年目にして念願の初優勝を成し遂げた。記録はホームページの他の項目で見ていただくとしてここでは直接ゲームの評ではない部分のお話しをしたいと思う。
アジュール兵庫
3年と少し前、アジュール兵庫監督の浅野さん(神戸市サッカー協会女子委員長)から「ママさんの全国大会が毎年開催されているのだが来年度から選抜を編成して予選に望みたい。ついてはコーチをしてもらえないか」と相談された。当時ヴィッセル神戸でユースの監督をしていた私は“仕事としてのユースの指導をしっかりやらなければ”と言う気持ちを持ちながらも何とか地元サッカー協会のお手伝いも出来ないものかと思っていたので当時のヴィッセル神戸のチーム統括部長に相談し引き受けることにした。
コーチをするに当たってまず浅野さんの考えを聞き自分の出来そうなことを整理し役割をある程度はっきりさせることから始めた。私の優先順位としては自分のチーム(当時はヴィッセル神戸ユース、現在は姫路獨協大学)が1番目であるので毎回々々練習・試合に参加できない。その分無責任な指導になってしまうのではないかと心配をした。ところが浅野監督がこまめに情報を提供して下さった為、いざ練習に参加するとなった時でもあまり違和感なく取り組めた。
3年目での優勝
00年最初の全国大会は初めての参加であり他チームとの力に圧倒され、参加したことに意義があったと言う自己満足で終った年だった。2年目は関西予選を大差で勝ったのと全国大会で連覇をしていたフローレンス広島と言うチームに練習試合で勝利したこともあいまって少し高をくくって参加し痛い目に合わされた年だった。
それぞれ自分たちとしては万全の準備をしていったつもりだったのだろうがことごとく1次リーグで跳ね返された。勝負の3年目にこのような結果が出たのもそれなりに過去2年間、選手のみんなが様々なことを感じ自分なりに努力、家庭でのやりくりを重ねたからこそつかみ得た勝利といえる。
選手の成長
そして私が何よりも感心したことは1年目に比べ選手が成長したことである。大人をつかまえて成長したとは失礼な言い方なのかもしれないが本当にそう思う。これはサッカー協会の人間という立場で選手を見ても十分に誇れるのではないか。
と言うのも1年目の選手の様子、チームの雰囲気派は試合終了後、所構わず喫煙、サンダル履き、しんどけりゃ動かない等はっきり言って勝利を目指すチームとは程遠かった。こんな様子だから協会のスタッフとしても「とても見本になれたもんじゃない、子供たちに示しがつかん。」と心配、不安ばかりが先にたった。それが2年目、3年目と経つにつれてどうだろう、自主的に喫煙を控え、減らし、場所をわきまえていた。そしてこんな会話までもが飛び出した。
Aさん「今からいくところへサンダルでも良いかな?」
Bさん「別にいいと思うけど怪我するとアカンから靴はいて行ったら?」
Aさん「うん、そうするわ。」
当たり前と言えば当たり前のことなのだがこの当たり前のことが中々難しい。ましてやプロフェッショナルな選手でもないお母さんたちが日頃の生活にてんやわんやしているお母さんたちが少しずつではあれこのような小さな我慢を重ね試合にかけたという事実がなによりもサッカーをしていてよかったと思える瞬間ではないだろうか。
『小さな我慢は大きな我慢を生む』
日々、私は子供たちに言っているのだがこれを確証してくれたお母さん、まさに子供たちの模範となる鏡となる行為ではないか。言葉でごちゃごちゃ言わず有言実行、大きな我慢をすることで押し込まれたゲーム展開を跳ね返す、1点を取って辛抱強く守りきる展開など勝利を呼び込む要因につながったのだ。お母さんたちの必死になっていた姿、情熱をみてただただ頭が下がる思いで一杯である。おかげで私もいい思いをさせてもらったのだ。ありがとうアジュールイレブン
次号にまた全国大会の雑感載せますね・・・。