カルチョの旅

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2010.7.12 NO.50


『ストライカー育成術』


Ciao!

いよいよW杯も決勝に近づいております。(このコラムが掲載される頃には結果が出ていますね)イタリアがグループリーグ敗退したからこそ、元気を出してがんばっているKawaです。

皆さん、寝不足になっていませんか?!
日本戦を追いかけ続けた先週はさぞ目をこすりながらの授業、勤務となったことだと思います。
今日はそんなW杯日本ベスト16の健闘ぶりを私なりに分析したので、少しタイムラグはありますが追っていきたいと思います。


≪日本がベスト16へ進んだ様々な要因!!!≫

・前向き守備でボールを奪える布陣
 →日本人のアジリティ能力が高く、ボールへのアプローチスピードが高い。適切なチャレンジ&カバーを行なっていた。

・前向き守備に加えて、さらにプレスバックで至る所でWマークをできる活動量。
 →1vs1において我慢強い対応とその遅らせている間に2人目が相手を潰しにかかる連携

・前向きで奪えるゆえに前方へボールを運べる。

・守備〜攻撃、攻撃〜守備のいずれにおいても切替がスピーディーかつ活動量豊かに
 行なわれていた。

・松井・大久保のカットインランニング、また本田とのポジション入れ替わりが頻繁に行なわれていた。(実際にカメルーン戦の1点は本田・松井の交わる動きにカメルーンDFが混乱をきたしていた。)

・後方から遠藤・長谷部・駒野・長友のフリーランニングが効果的かつ頻繁に行なわれており、後ろから追い越してくるプレイヤーを相手チームがマークするのに苦労していた。

・ 試合途中でシステムチェンジがあるにしても…日本の中盤3枚が相手の変化を見極めて2つのシステム(4−1−4−1と4−2−3−1)を理解し、常に守備面ですぐに相手ボール保持者に対してアプローチできる布陣を形成していた。
・ ゴールは生まれていないがダイレクトシュートが多かった。ゆえにシュートを撃って撤退する時間が設けられていた。


≪試合におけるターニングポイントと各々の試合分析≫

日本vsカメルーン

日本4−1−4−1(4−2−3−1)vsカメルーン4−1−4−1(4−2−3−1)
カメルーン途中で4−2−3−1に変更。わざわざ日本の守備網の餌食にかかりに行く。
本田・松井のポジションチェンジが功を奏し、守備面がとても機能した良いゲーム。
GKキックから本田へ。この際、松井が中央へ交わる動き。その後、もう一度交わる動きでサイドへ。カメルーンサイドハーフが下がらないため左SBが孤立。加えて本田が中央へいったため、最後までついていくことによって、松井がクロスを上げる時間(タメ)が作られた。当然遠藤のパススピードが速かったためでもある。本田がさらにカットインしてきた大久保と交わる動きでDFの背後へ。マークは大久保へ集中したため、本田がフリーな状況となった。日本の前線3人へ与えた自在性が敵への混乱を与えた象徴的なシーン。

日本vsオランダ

日本4−1−4−1vsオランダ4−2−3−1
0−1で終わったことが次節デンマーク戦に向けて心理的に勇気を与えた。
しかし0−3あるいは1−3で終わってもおかしくない試合でもあった(オランダに2つのカウンターチャンス)。この試合もベスト16に進んだ鍵の一つ。なぜならここでもう2点を与えていたら、引き分け以上での進出はなかったため次節デンマークにがっちり守られていた可能性もあった。『しっかりした守備から!』というゲームプランを変更しなければいけない状況になったかもしれない。
この試合は見所満載な試合でしたが、とくに私が注目したい二点あります。

後半
シーン 10’20″
大久保シュートに遠藤・長谷部詰めていた。この詰める作業は反応もさることながら、これだけの戦いだと活動量・そこへ行く強い意志(つまり決断力)が必要となる。なぜなら攻守が瞬時に切り替わる現代サッカーにおいてポジションを空けるという行動はカウンターを与えてしまうからである。
これは強豪国相手に前向きな姿勢が伝わってくる場面でした。

シーン 44’52″
長友クロスにトゥリオヘディング落とし。岡崎スペースに走り込んで左足ボレー。枠を外れる。
できればファーサイドへ撃てば、GKがはじけば中村俊輔が詰めていた(中村はヒールで受けられる体勢だったのでもらいたかったはず)のでゴールできいた可能性が高い。
もしくはGKの移動動作とは反対のファーサイドへ撃っていたらそのままゴールできた可能性も高い。


日本vsデンマーク

日本4−2−3−1(序盤で4−1−4−1に変更)vsデンマーク4−2−3−1。
序盤、左SBのS.ポウルセンをケアするためか?!普段の4−1−4−1ではなく遠藤・阿部のWボランチに長谷部を右、大久保中央、松井を左という形でこれまで非常に機能していた『前向きで鋭いアプローチ守備』のバランスを自分たちで崩しかけてしまった。
この時間帯に失点をしなかったことこそが、日本が決勝トーナメントに進出できた鍵と言える。

またこの戦術は岡田監督の決断であったが、微妙な連携のズレをすぐさま戻した柔軟な戦術変更指示(前半11分長友に伝達)が日本をベスト16へ導いた。
実際に戻した直後に長谷部の中央からの2列目飛び出しによってシュートがあり、また大久保のクロスから松井(カットインランニング)の際どいGK手前でコースを変化させるシュートでゴールに近づいた。
次に長谷部がサイドから中央へポジションを取ることにより、自由な動きを取り戻し(守備戦術的にきちんとチームのセオリーを守ることを前提とし)積極性が生まれデンマークの攻勢を鎮めた要因にもなった。

もちろんその2つのシュートの間に、トマソンのゴールギリギリを外れるシュートが『ゴールインしていたかどうか?』がポイントである。
もしデンマークが先制していれば大いに試合運びも変わっていただろう。

そこに本田の先制FK※前半17分(ちなみにこのFKをゲットしたのは中央の隙間で受けようとした長谷部である)という日本を熱狂の渦に沸かせた実に劇的なドラマが起こり、この試合の序盤のメンタルの優位性を決定づけたこの1点が日本に自信を与え、勢いづかせ、システムを戻したことで微妙なズレを修正し、今まで機能していたチームとしてのチャレンジ&カバーのリズムを取り戻したことはハッキリと断言できると私は自信を持って答えたい。


≪それでもまだ日本は決定力不足…?!≫

しかしベスト16で満足してはいけない。
流れの中からは2得点、しかも勝負を決定づけるゴールはカメルーン戦に限られる。

カメルーン 1−0  得点者…本田(流れの中から)
オランダ  0−1  得点者…なし
デンマーク 3−1       得点者…本田・遠藤(いずれもFK)・岡崎(流れの中から)
パラグアイ 0−0 PK3−5 得点者…なし

そこで考えた課題…

☆シュートを撃つ回数を増やす(シュートへ向かう正しいタイミングの習得)
☆ペナルティエリア内の攻防が重要
☆ペナルティエリア内でゴールを感じさせるプレイヤーの育成
(イタリアも同じことがいえる。このペナルティエリア内で問題を解決できる選手がいなかったため、ウイングプレイヤーを配置してジラルディーノに解決をゆだねてしまったシステムが機能しなかった。そのため2トップにしたり、3トップにしたり、最後までジャストな布陣を見いだせなかった。)
☆前向き守備からの正確なカウンターアタック(ゴールを目指したポゼッション)


≪ようやく日本もPK負けの苦さを味わった?!≫

以前神戸ウイングスタジアムで講習会のインストラクターを務めたジャンパオロ・コラウッティ氏から電話がありました(負け惜しみの電話だったかどうかは定かではありません…)笑。
『日本は素晴らしいチームやったやん。今回のイタリア代表に学ばせたいぐらいの組織的ディフェンスと集中力やった。結果は残念だったけど、日本もようやく『PK負け』という苦い思いを味わえるぐらいの位置まで来たということやわ!』


前回覇者、過去4度の優勝を誇る国の関係者が語る言葉…非常に重みがあり、また本当にこういう苦さを味わえたのは我が国を除いて、なんとガーナだけです。
今大会32カ国中、たった2カ国しかできない体験、皆さん絶対に忘れないでおきましょう!!!


≪ストライカー育成本を出版≫

そんな決定力改善に向けて微力ながら、このたび本を出版することになりました v(^^)v
イタリアで培った4年間を一冊にまとめて綴っております。
海外には様々なサッカー観がありますが、イタリアのエッセンスがお役に立てれば幸いです。
(こちらをご覧下さい)


日本人の子供たちはとてつもなく潜在能力があります。
サッカーを楽しく、ゴールする喜びを分かちあいながらこれからも育成に励んでいきたいと私は考えています。
この情熱を皆さんと共有しながら日本のサッカー、兵庫のサッカー、神戸のサッカーに貢献しようと思いますので、ぜひ一度読んでみてください。
そして感想をお聞かせください。
目指すゴールは一緒…ただゴールまでの道のりは色々な方法・アイディアから生まれた方がさらに充実したものになるでしょう。

それではまた、Ciao ciao v(^^)v
 


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