カルチョの旅

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2006.8.30 NO.42


「発想の転換!交換!共感!」


Ciao!

少し…いや、長い間更新が滞ってしまい大変スミマセン。
実はこのHPのインフォメーションにも掲載されてある通り、5月〜7月24日まで
はW杯のコラムをオールアバウト(参照http://allabout.co.jp/matsuri/aawcup04/)というサイトへ書き込みを行なっておりました。

結果は…見事優勝しました〜!

皆さんのおかげです。
まだ読んでいない方はまた読み返してもおもしろい記事ですので、ご覧ください。

さてさて、そんな4ヶ月ぶり今回のテーマは『1vs1の指導』の導入についてで
す。

日本に帰国してからいろんなカテゴリーの試合を観戦しました。
インターハイ、U−15クラブユース選手権、Jリーグetc。

どの試合もシュートが少ないのは気のせいでしょうか?!
サッカーの基本は『ゴールを奪う』、『ゴールを守る』です。

逆算して考えるとゴールを奪うためにはシュートを打たなければいけません。
なのにシュートまでいけない!!!
なぜでしょうか???


〜ロナウジーニョの思考回路〜

世界と戦うためには「1vs1で負けては話にならない」とよく言われます。
実際に1vs1は基本ですから、局地戦で負けるとペースは次第に劣勢となっていき
ます。
ですから『個の力』を伸ばすことについて私は賛成です。
別に反論したいわけではありません。

しか〜しこの【1vs1のトレーニング(攻撃&守備)】を何回も徹底的に何ヶ月も繰
り返すというのはどうでしょうか?!

サッカーは様々な要素が複雑にかみ合わさって行なわれるスポーツです。
11人が個々の特徴を生かして協力してチーム一丸となって勝利するというスポーツ
です。
となれば複数の選手との連係や敵選手との力関係もそこで瞬時に理解していかなけれ
ばいけません。

それを個々の1vs1のレベルアップを重点に置く指導をしてしまうと、個人の判断
力は向上していかないどころか、ボールを持つと周りが見えない子供をも育ててしま
う可能性があります。

先日ロナウジーニョがあるTV番組で日本人の子供3人組から質問を受けていたシーン
を見ました。

◇               ◇               ◇
子供:「ドリブルをする前に何を考えて仕掛けますか?」
ロナウジーニョ:「抜いた後のことを考えて仕掛けている。つまりラストパスをどこ
へ送ろうか?をイメージしているよ」
◇               ◇               ◇

これはTVを通して実際に取材をしたわけではありませんので「本当か?どうか?」真
実はわかりません。(別に番組を疑っているのではなく、真実は自分の目で確かめ
る、あるいは聞いて確かめるのが私の信念です!)

ですが彼のこのコメントを深く考察すると、彼はすでに自分と対峙している1vs1
の敵の後ろに「味方が何人いて、どこへ動き出そうとしているのか?」「何を考えて
いるのか?」まで様々なアイディアをイメージできているということになります。

きっと彼はストリートサッカーで培った能力がもはや感覚でプレイできるレベルに達
していると思います。
しかしそんな様々なシチュエーションは1vs1の中だけで培われたものではないこ
とは明白でしょう…。

〜味方と連係して「攻める楽しさ」・「守る楽しさ」〜

サッカーは本来『強い者が勝つのではなく、勝った者が強い』という格言がありま
す。
そして『能力が強い者だけが勝つことは限らない』のもサッカーです。

そのためには味方と連係して攻撃することがキーファクターとなります。
1vs1だけで敵を抜くとなると絶対的な能力が上回らない限り、チームの攻撃のス
ピードは鈍り、逆に味方にとって悪い流れを生み出すことも考えられます。

そのためにはサポートに来た味方を上手く利用するコツを覚えることが肝心です。
なぜならそこへパスという選択肢を入れることによって可能性が広がります。
さらに言えばヘッドダウンが改善されます。

しかも敵のDFはドリブルを防ぐのか、あるいはパスを防ぐのか、最後はどちらが危険
なプレイヤーになり得るのか?を考えてプレーしなければいけない状況へ追い込めま
す。

守備も同じです。
能力の高い相手を1vs1だけで抑えようというレベルアップは必要です。
しかしそれにプラスアルファとして『味方と連係してどのように封じ込むか?』も考
えられるプレイヤーにならないといけません。
自分のポジション、地域、タイミング、シチュエーション、どれをとっても必要不可
欠な要素です。

しかし1vs1の守備の局面だけでレベルアップを目指していると、近くにいる味方
とどう連係してボールを奪うのかを考えられないプレイヤー、つまり瞬時にチャレン
ジカバーの理想形をイメージできない子供が育つと思うのです。

「1vs1でもボールを奪えない子が味方を上手く利用しておこぼれを拾う」なんて
いう予測能力は間違いなく1vs1の中だけでは培われない経験です。

〜ザンブロッタの言葉〜

イタリア代表が優勝した際にザンブロッタは語りました。

「Chi arriva prima,si vince!!!」
「誰が一番にボールへたどり着くかで勝負は決まる!!!」

詳しく説明すると、どんなにテクニックがあってシュートが上手くてもボールに触れ
なければそれは能力が高くないプレイヤーと変わりありません。
少々ボール扱いが下手でも「いち早くボールがどこへこぼれるか?」を予測して先に
ボールへ到達するプレイヤーは有利と言えます。

現代サッカーはますます時間・スペースがない時代へと突入しています。
となればテクニックがあってもボールへいち早くたどり着く予測能力を磨かないと宝
の持ち腐れで終わってしまうのです。

ワールドクラスのレベルになればもはやテクニックに差はほとんどありません。
W杯もそうです。
ならばザンブロッタが言うようにいち早くボールへたどり着く判断力を磨けば常に
ボールを支配でき、そして相手の仕掛けより早く守備の態勢を整えることができるよ
うになるでしょう。

サッカーは1人がボールを持てる時間は90分の中で2〜3分です。
ゆえにそのボールを持っていない1vs1の攻防が行なわれない時間を「どのように
動くか?」まで指導者は教えなければいけないと私は思います。

〜世界は16歳レベルでプロ選手を育てている〜

「16歳でプロデビュー!」なんていう言葉は今ではすっかり珍しくない兆候となっ
てきています。
私はよく思いました。
大学を卒業する22歳頃のサッカーに対する理解力がもっと早くから身についていれ
ば「さらにサッカーがおもしろかったのになぁ〜」と。

プロになるレベルの子供もそのレベルに達していない子供も大人のように考えて行な
うサッカーはもはや中学生年代では当たり前の時代に突入しているのが世界です。

ならば日本もサッカーにおける様々なセオリー、要素etcをしっかりと若い年代から
教えていかないと世界ベスト10どころではなくなるでしょう!!!

〜Trasuformazione di adattamento〜

【Trasformazione di adattamento】日本語で訳すと【適応能力】と訳すんでしょう
か…。

例えば…
シュートを撃ち終わっても、ボールが生きていればすぐに次の行動が開始されます。

例えば…
GKが弾いたボールをもう一度拾ってシュート、あるいは相手のカウンターが開始され
たので守備へ戻るためにターンしてダッシュ開始。

まぁ簡単に言うと『一つのシチュエーション』が終わったすぐ後に『異なったシチュ
エーション』に対してどう反応するか?という能力です。

そしてそれが速ければ速いほど攻守の切替も早くなります。
(イタリアには2つの【攻撃】【守備】という局面が定義とされています。日本はこ
れに【攻守の切替】がプラスされます)

これはボールのテクニック以外の部分の頭のトレーニングです。
「1vs1以外の、周りとどう関連して自分が動くのか?」という状況に「どう速く
適合するか?」というテーマが重なって存在しています。

この能力はハッキリ言って1vs1のトレーニングだけでは養うことはできません。

間違いなく様々な要素がかみ合わさって実行されるトレーニングでないと育ちにくい
能力だからです。

そのためにコーチのオーガナイズが非常に重要となってきます。
1vs1のトレーニングは「どの地域から出発するか」「ボールの状況はDFにとって
どうなのか?」「時間制限は?」の3つぐらいしか条件の変化がありません。
ゆえに簡単に考えられるトレーニングと言えるでしょう。

しかしこの頭が鍛えられるトレーニングはもっと複雑な条件が要求されます。
現在オシム監督が口酸っぱく要求している部分はまさにこれに当たると私は思いま
す。
だからこそ小さな年代からシンプルではあるけど頭の回転が要求されるトレーニング
が大事になってくるのです。

これらを教えるためにはコーチの引き出しを増やしていかなければなりません。
そしてサッカーにおける様々な要素を子供たちに習得させていけるようにしましょ
う。
世界中のコーチはもっともっとサッカーを分析、研究を重ねていますよ。

〜シュートを増やすために!〜

冒頭の問題に帰りたいと思います。
シュートが少ない原因の一つに今日挙げたボールがない局面での予測能力が日本人は
低いことがあります。
これは小さな頃からボールを中心にしたトレーニングを行なっているがゆえに、ボー
ルの流れが読めない選手が育ってきていることも含まれていると私は思います。

日本人のテクニックは本当に世界でも有数です。
でもそれを発揮させるためにも、もっと様々なシチュエーションでサッカーを探求し
てみませんか?!

それもゴールを奪うために現実的な方法でテクニックを生かす攻撃のアイディア。
ゴールを守るために必要な組織を急いで構築できる判断力。

繰り返します!!!

世界のサッカーはますます時間がない、スペースがない時代に突入しているのです。

そんな中で目標を持たない(ゴールを意識できていない)サッカーをしているといつ
までも迷路をさまよい続け、ブラジル戦で観た光景が私たちの前に再び姿を現すこと
になるでしょう…。

味方をどのように動かし、自分が犠牲になってもいかにメイクスペースを味方のため
に創り出すか?!

これが連続的に90分間できるようになったとき初めて日本は世界を驚かすことがで
きるようになると私は信じています。

それではまた。
Ciao!


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