カルチョの旅

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2005.11.13 NO.37


「カンナヴァーロのメッセージ」


Ciao!
先日“まぐまぐ”から発行された私の『カルチョな旅』(by 
http://pws.prserv.net/ariak/※ここから無料購読の登録ができます)で取り上げた
テーマが好評だったので、今日は【マンマークDF】について皆さんと考察していきた
いと思います。

◇             ◇             ◇

さて、2005−2006シーズンの開幕第一弾。
イタリアのあるスポーツ紙におもしろい記事が載っていたので皆さんと考察していき
たいと思います。

題名は、『カンナヴァーロのDF消滅危機論』
副題は《彼はいつも一つの疑問を感じている:【多くのDFたちがボールばかりを警戒
し、マークすることを忘れて成長している】》

これは直訳したもので、隠喩的な表現も含まれているのでかいつまんで説明させても
らうと、何が消滅していっているか?「ゾーンDFを重要視し過ぎているゆえにマーク
DFをしっかりできていないまま多くの若いDFたちが育っている」ということです。

つまり1対1というDFにとって一番重要なキーファクターをしっかりと押さえ切れて
いないままゾーンDFの仕方を習得することによって「自分は良いDFである」と勘違い
したまま成長しているDFのプレイヤーが多いということを物語っています。

カンナヴァーロは新聞紙上でこう語っていました。
【私は幸運なことに攻撃者に対してタイトなマークすることを覚えながら育つことが
できた、とくにナポリ時代にはマラドーナという破壊的な攻撃者が存在したからこそ
良い手本をたくさん観ることができた。チロフェッラーラ(※昨年度ユヴェントスで
現役を引退)は代表的な模範者だ。そしてこれは今も私の生命線となっている。

しかし今日多くのDFたちはボールをしっかり見ることに集中し、それに反してタイト
なマークをすることができていない傾向を私は感じる】

引き続き彼は熱く語った。

【ゾーンを意識することは重要である。しかしゴールに近い攻撃者こそ危険だ。彼こ
そゴールを奪う最短距離にいる。なのに若い年代で現在教えられているのはゾーンDF
であって、その戦術的な動き方を執拗なまでに繰り返している。逆に基本的な攻撃者
に対する1対1のマンマークはなおざりにされているまま…。】

現在イタリア代表にはFWや中盤で素晴らしいプレイヤーは育っています。
例えばジラルディーノ(ミラン)やデ・ロッシ(ローマ)。

一方でDF陣たちは中央で言えばカンナヴァーロ、ネスタ(ミラン)の後に続くプレイ
ヤーは出てきていません。マテラッツィ(インテル)、バルザーリ(パレルモ)といった
名前が出てきますが彼らも前述した偉大な二人の後継者とは残念ながら認めることは
できないでしょう。

そしてサイドに目を移してみてもリッピ監督は高齢のパヌッチ(ローマ)を断念し若手
に切り替えようと試みていますがボネーラ(パルマ)、ザッカルド(パレルモ)と彼の期
待に応えるほどの活躍を見せていません。むしろベルゴミ(元インテル、イタリア代
表、DFの選手)は【4バックの右サイドでいまだに一番信頼がおけるのはパヌッチ】
だと言及しています。

左サイドにおいてはザンブロッタ(ユヴェントス)以外には選択肢がないぐらいだと世
間は騒いでいます。※後日グロッソ(パレルモ)がベラルーシ戦で大活躍。ただし相手
が弱すぎた間も否めない。

そしてここでもベルゴミは語っています。

【多くの育成年代コーチたちが早くから守備面において集団戦術的なことを求めて過
ぎている。まず始めに教えなければいけないことは個人戦術における1対1のマーク
の仕方でなければならない。】

続いていてカンナヴァーロはこうも語っています。

【私みたいなタイプのDFプレイヤーは徐々に少なくなってきている。攻撃者に体をぶ
つけてどう彼をピッチ上の危険ではない(守備者にとって)ゾーンへ導くか?それは昔
ながらのペナルティエリア内の闘い、そしてそれを未然に防ぐ思慮深い考察という芸
術であり、マンマークをきっちりと遂行するための生命線でそれを知っているDFは数
多くいた。】

さらにカンナヴァーロはゾーンDFが過剰に教えられ始めた原因についても語っていま
す。

【アリゴ・サッキがゾーンプレスという戦術を生み出したのは事実であり、世間で極
度な戦術の話をされるときに容疑者として彼が一番に指名される。しかしサッキはDF
においてマンマークを強く求めていた。ゾーンDF=攻撃者に対するマークよりもゾー
ンを優先するという意味ではない。】

【罪はサッキにはない。しかしひょっとしたら育成年代のコーチたちの中でサッキが
示した概念に少し混乱した可能性が高い。ゆえにサッキの罪ではなくサッキズモ
《サッキイズム》がエラーの原因である。】

【そしてそのサッキズモは昔のサイドバックの仕事を劇的に変えてしまった。それは
そのゾーンに入り込んでくる攻撃者を抑えるだけでなく、攻撃の基点としても技術的
な部分を要求する、いや現代に至っては攻撃することこそが重要に思われており、そ
ういった堅実的なサイドバックは中央のDFを任されるような時代になった…。】

【そしてそういったゾーンDFの中で成長していっているDFは一人のFWのプレイヤーと
戦う準備が不足したまま成長して行っている、インターセプト・1対1の間合い・相
手を自分の懐に誘い込む術・相手攻撃陣の連係プレイを上手くさせないためのキープ
レイヤーを寸断する方法etcを知らずに…。】

◇             ◇             ◇

1対1のDFは日本の課題であると私は思っています。

とくにW杯南米予選のブラジルーチリ戦でロナウジーニョ抜き(彼抜きでも力が落ちな
いセレソンだが…)にもかかわらずロナウド・アドリアーノ・カカ・ロビーニョの4
人でチリDF陣を切り裂いた攻撃力はハッキリ言ってコンフェデの日本戦とは明らかに
違っていました。

W杯優勝宣言した以上すべてにおいてレベルアップが求められます。
日本人の優れている能力が『組織力』であるというのは私も大いに納得しています。

しかしこの1対1のDFが向上しない限り日本の組織力を生かした攻撃力も半減しま
す。

そして1対1のDFがレベルアップした時こそ日本の組織力を生かした戦術的な守備シ
ステムもさらに機能すると思います。

皆さんはどう思われているでしょうか?!
ご意見・質問がありましたらブログ≪カルチョ革命
-http://rivoluzion.exblog.jp/1066075≫ を立ち上げましたのでメッセージくださ
い。

イタリアから発信されたカンナヴァーロのメッセージを受けとめてもらえることを期
待しています。

それではまた。
Ciao!
 


『カンナヴァーロ、DFを語る』

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