カルチョの旅

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2005.5.21 NO.32


「カンピオーネ(偉大な選手)は生まれてくるのか?育てるのか?」


Ciao!
1年に1度あるか?ないか?の裏コラム。
今回のテーマについて賛否両論だと思いますが少なくても問題提起にはなるでしょう。

…と私のサッカー関係者知人に送信したところ、なかなか好評と言いますか、「これはぜひ色んな指導者の方々に見せるべきだ!」という声を頂いたので神戸のサッカーを通じて皆さんに伝えさせてもらいます。

それでは裏コラム始まり、始まり…。

題名にある「にわとりが先か?卵が先か?」に似たようなタイトル【カンピオーネ(偉大な選手)は生まれてくるのか?育てるのか?】について今日は考察していきます。

前者が才能型選手に例えるなら後者は努力型選手に例えることができるでしょう。

天下無敵なのは前者が努力してそのまま無事成長することです。
しかし良いトレーニングで訓練していかないと成長できません。ましてや思春期に数々の誘惑が待ち受けていることも予想されます。

逆に後者の努力型選手が大成するかと言えばこれまたなかなか難しい問題です。
なぜならそういった選手は目立ちにくく能力を感じ取ってもらえる機会が少ないからです。

…でも私は【努力は無限!】と考えたいのです!!!

とりわけサッカーは身体能力がすべてではなくインテリジェンスや頭の回転の速さも重要です。とりわけ味方を生かすプレイ、敵の意図を察知する感覚、敵よりも先にチャンスへたどり着く感覚etc。

今日はそんな私が思っていることに確信が持てる出来事にめぐり合った話です。

先日あるセリエAのクラブの指導者講習会に行ってきました。
3日間(実質2日間金曜日の午後から日曜日の試合開始まで)某北イタリア競技場で開催されました。
そこに待ち受けていた大イベントが2つ。

皆さんもご存知、世界のストライカーと言っても過言ではないD.T選手、それから優勝請負人という素晴らしい肩書きを持つF.C監督の二人と質疑応答することができましたのでその中で印象に残った言葉を語りたいと思います。
    
      (F.C監督)               (D.T選手)
D.T選手は講習会の中でこう答えてくれました…。
「私はシェフチェンコのように速い足を兼ね備えているわけではない。だからこそゴールをたくさんとることで自分の持ち味を出した。これは幼い頃からペナルティエリアの中で様々な特訓に励んだからだ!」

さらにこう続けられました…「この能力を生かしてくれたのは自分が若い頃のコーチのおかげだ!自分の特徴を見出してくれて素早くその能力を生かすために色んな種類のトレーニングを私に課してくれた…」と。

そしてF.C監督はミランで監督を務める前に実はJユースからユースまでの監督を歴任しているキャリアの持ち主です。
そんな彼が若手育成の視点で《監督とはどういう存在であるべきか?》を語ってくれました。

「私は育成年代の頃に一番コーチに重要なことは選手たちに技術を与えることであると思っている。なぜなら技術なくして判断の選択肢を持つことはできないからだ。選択肢がないの『考えろ!』と言っても無駄である。ならば選択肢が持てるように技術を若い頃に叩き込んでおかないと大人になってからでは遅い。」と優勝請負人と呼ばれている偉大な監督が若手育成に関してポリシーを抱いていることに感心しました。

そして話はさらに関心の深いテーマに進みました。
「ペソットは私がミランのプリマヴェーラで教えていた選手である。あの時に彼がここまでのプレイヤーになることを誰が予想できただろう…。おそらく100人コーチがいたら10人も気付くことができなかったはずだ、いや信じることができなかったはずだ。しかし彼はアドバイスを聞く耳を持ち、ひたすら自分が最大限できることに努力を費やし、監督が何を求め、どのように自分たちが試合展開をコントロールしていかなければならないか?ということをすぐに理解するインテリジェンスを兼ね備えていた。だからここまでのクラブへたどり着いたのだ!」

別にスピードがなくても極端な話を言えばシュートまでのインパクトが速く、どこでゴールを奪えるのかを嗅ぎ分ける得点力があるプレイヤー、あるいはカバーリング・ポジションセンスが素晴らしい守備的なサイドバックという個性的なプレイヤーが彼らです。

ただしそういった能力を発掘し気付かせてあげるのはコーチの役割に他なりません。
もし彼らが気付くことができなかったから、いくら飛びぬけた才能(素質)があっても適材適所なポジションを見つけない限り偉大なプレイヤーにはなれないでしょう。

チームを向上させようとするがゆえに組織力の構築に目が行っていませんか?そして磨けば光る原石をただの石ころにしていませんか?
偉大な選手の光を失わせるのも輝かせるのもコーチの対応次第ですよ。

とまぁこんな感じで裏コラムを送信させてもらいました。

…すると、ある若き指導者からこんなメールが私の元へ届きましたので皆さんへぜひ紹介したいと思います。

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裏コラム拝見しました。
僕の意見としては、生まれ持った才能というものはあると思います。
わずか22年間ですが、僕がこれまでにそういったモノを兼ね備えた人たちをたくさんみてきました。

…しかし才能があっても努力を怠ったものはみな消えていきます。
たかだかその市内・県内などで活躍する程度であれば努力しなくてもある程度やっていける、…でも本当に偉大な選手になっていく者は才能がある上に努力をしている。

今、日本人で世界という枠の中で活躍している人たちは才能があった上に努力もし続けていたのでしょう…サッカーに限らず。
僕の友人が言っていた【努力する才能、それはだれもが持っている才能だ】という言葉があります!
僕には何か才能があるかと考えてみると・・・思いつきません(苦笑)

でもその友達の言葉からすると、努力する才能は自分にもあるはず。
僕が思うにその「努力」という才能を引き出す、そして努力をしようと思わせるのが指導者の役割のひとつではないでしょうか?
そして僕が今までに出会ってきた多くの人たち指導者はこれを僕に気付かしてくれたことでしょうか…。

僕が『サッカーで飯を食いたい、イタリアにまで行こう!』と思うようになったのは今まで出合ったたくさんの人たちの話を聞き、刺激を受けたからです。

ですから僕は素晴らしい指導者たちに巡り会ったのでしょう。
もちろんKawaさんも僕の出合った大切な指導者の一人です。…ですからまだその才能は「開花させた!」とまでは言えませんが努力をしようとは思っています。
いつの日か、その花を咲かせられるように。

そして今度は自分がそういった選手の才能を開花させられるような指導者になれるように頑張りたいものです。

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さらにまた違う若き指導者から別の視点でメールをもらいました…。

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コラム、毎回楽しく拝見させていただいています。
さて、このたびは面白い題材のコラムでしたね。
ここで、僕も少し「才能と素質」についてお話を。。。

才能がある選手。
素質のある選手。
この違いはなんでしょうか?

幼いころサッカーのスキルの高い選手は、当然評価が高いです。
これは素質がある選手。少し教えれば、簡単にそれを習得してしまう。

それとは違い、才能がある選手とはどういう選手か?!
スポーツ選手でも、1日中その競技のことを考えている選手は数少ない。長い時間その競技のことばかりを考えられるは才能である。
特に、成長期には、さまざまな経験をし、他の誘惑も少なくない。

そんななかで、自らその競技に没頭し、四六時中その競技について考えてられるのは《才能なのではないか?!》と私は思います。

そんな中、指導者という立場からこの才能と素質という話をするのは大変難しいですね。

僕の好きな指導者の中に「山口良治」という人が居ます。
サッカーの指導者ではなくラグビーの監督なんですが…。

この人の書いた本に、「気づかせて動かす」という本があります。最高です。
機会があったらぜひ読んでください。

気づくもの。気づかせるもの。
指導者は教えるのではなくて、選手に何かを気づかせる人なのではないでしょうか?
自分で気づくから、考える。考えるから成長する。
教えるだけでは選手は伸びないとおもいます。
生意気な意見すいません。

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そしてある大先輩からはこんなアドバイスをもらいました。

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自分が持っているモノより少し高い目標を目指す、決して背伸びせず少しずつ積み重ねていく、そんな人を私は応援します!

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そしてある先人はこんな言葉を私たちに送りました…。
《進歩とは反省の厳しさに正比例する!原因が自分にあると気付いた時、そこから壁は破れる…》

指導者は日々考察し、何がプレイヤーたちにとってプラスになるかを様々な視点からアプローチしていく…そして本人たちから気付かせるためのちょっとしたエッセンスをさりげなく感じさせる。
そうすれば偉大なプレイヤーは偶発的に生まれるのではなく、必然的に育つ環境が整うのではないでしょうか?!

それではまた。
Ciao.

Kawa

  
  (某北イタリア競技場)


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