カルチョの旅

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2005.3.26 NO.31


「カードの切り方!!!」


Ciao!

今日はとことんカルチョの話題を…。

2月27日に行われたミラノダービー!
勝利したのはユヴェントスと鍔迫り(つばぜり)合いを繰り広げるミラン!
スクデットの夢をつなげたいインテルは直接対決で勝利が義務付けられていたのですが、今季初の敗北を喫すると共に優勝戦線からハッキリと脱落したのです。

今日はそのミラノダービーにまつわるエピソードを紹介し、この明暗の分かれた一戦を検証していきたい。

【世間をにぎわす現イタリア首相!】

ミランはシェフチェンコをケガで失い、皆さんもご存知の通りクリスマスツリー型4−3−2−1。
このフォーメーションはケガでシェフチェンコを失ったという理由だけで選択されたのではなく、彼がいても昨年度に重要な一戦であるローマ戦で披露され、アウェイにもかかわらず2−1でローマを撃沈しスクデット獲得に大きく前進したアンチェロッティ戦術の一つのオプションでもあります。

しかしこのフォーメーション!
実は世間でいつも物議をかもす話題となっているのです。
それは元ミランの会長(現イタリア首相※現在ミラン会長は空席となっている)ベルルスコーニがこのシステムを嫌っており実際に「攻撃的なサッカーを目指すミランは2トップでなくてはならない!」とマスコミを通して公言している。
それに追随する副会長のガッリアーニが間接的にアンチェロッティへ戦術の選択を迫ったことも数えれば多々あります…。

加えてベルルスコーニのお気に入りのプレイヤーのセルジーニョが「先発に名を連ねるかも?」と一部の報道ではルイコスタと50%の可能性を示されていた。(実際にはアンチェロッティはルイコスタを選択)

イタリアには「勝っているときにはそのシステムを尊重する!」という決まり文句が存在するようにアンチェロッティは2月23日にCLでマンチェスターUに勝利したシステムをそのままダービーにあてはめたのです…そう今でもミランのボスであるベルルスコーニの見えないプレッシャーに屈することもなく我が道を進んだのです!
 

 
写真スタメン予想

【インテリスタの嘆き】

一方インテルは通常の4−4−2で挑んできたのですが2トップはマルティンスとヴィエリ!!!
マスコミ情報ではアドリアーノとマルティンスの2トップが有力視されていただけにこれにはファンならずともインテルの選手たち自身が土曜日あるいは試合前に驚かされたに違いない。スタンドからはインテルのアップが始まった際に「アドリアーノがいない。」「おい本当に俺たちはアドリアーノなしで戦うのか?」というざわめきが起こり、有料放送のSKYもベンチに座るアドリアーノの冴えない表情を映しだしていました。

アドリアーノは現在トップコンディションからは程遠く、この夏南米選手権からバカンスなしでプレイをし続け疲労が溜まっているのは周知の事実。

しかし彼のポテンシャルは相手に驚異を与え(実際に調子を崩す前にはアドリアーノが出場した試合は負けないという神話さえ伝えられていた※1試合1.2得点というデータまで示されていた)、攻撃パターンが確立していなかったインテルの中で唯一頼りにしていたマンチーニの大きな得点源だったゆえに敵将アンチェロッティも驚きだったのです。

ましてやポゼッションサッカーを展開するミランを攻略するにはスピードでカウンターを仕掛けることができるアドリアーノとマルティンスの2トップの方がミランにとって脅威であったであろうことはアンチェロッティも認めており、試合前日の記者会見では「もし誰かをインテルのスタメンから削除できるとしたら誰がいいですか?」という記者からの問いに「アドリアーノ!」とキッパリ答えていました。
もちろんこれが試合前の駆け引きという前提はあるにしても…。

さて、このマンチーニの選択は果たして正しかったのでしょうか?

【スクデット戦線に名乗りを上げるためには…】

この判断に関してはマスコミや評論家はこぞって『マンチーニの消極的采配』と叩いていましたがチーム内部の雰囲気、あるいは選手の体調管理、さらにはチームの戦術練習をよく把握している監督の先発メンバーの決定について私は否定する気になれません…。

実際に試合内容ではインテルが中盤を支配し優勢に進めたと報じられている通り私もそうだったと思ったからです。
問題だったのはゴールができずインテルにとってアンラッキーとみられるカカのゴールで敗れたからスターティングメンバーの決定や試合経過の選手交替について是非を問われるのであります。

とくにこの選手交替については『消極的采配』と言われても仕方がない。
なぜなら調子が優れないとは言え、破壊力を秘めたアドリアーノを81分までベンチに温存していたからです。
それも引き分けではいけない、勝利だけがスクデットへの道であったインテルなのに【ミランにリードされてから7分後に投入した】という後手と思われる采配だけにインテリスタにとってはフラストレーションが溜まったマンチーニの選択だったのです。
もっと均衡した試合だからこそ自分から《攻撃的シフトにチェンジする》勇気があっても良かったのでは…。

ちなみに今季のインテルは負けてもおかしくない試合を劇的な逆転勝利(サンプドリア戦、これはすごかった!)、ロスタイムで同点に追いついている試合(シエナ戦etc)などがいくつもあります、とくに0−2からユヴェントスに2−2で追いついた試合は4トップ気味にシフトチェンジしてからレコバ、ヴィエリが起死回生の活躍を見せただけにバランスを崩してでもこの日は【勝負にいくべき!!!】だったのであります。

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【幸運なシュート?!それとも…】

さらに失点の場面についてもここで語りたい。
マスコミから伝わってくる情報ではミランにとってラッキーなゴールであったと報じられている。
このシーンを振り返ってみよう。
CKのこぼれ球(マルティンスのクリアミス)をガットゥーゾが拾ってペナルティエリア付近からシュート。
トルドはそのシュートに反応し左へダイビング。
しかしそのシュートの軌跡にはカカが位置しておりカカがトラップしようと右足を出したがシュートの弾道が速くてカカは当てるだけが精一杯だった。
…がなんとそれがトルドの逆を突きゴールの右隅へ吸い込まれるという得点だったのであります。


写真「勝利を呼び込んだ二人」

これにはもう一つエピソードが!
失点する1分前にヴェロンからエムレという選手交替があった。
このエムレが試合の流れにのる前にCKがミランに与えられ、そのエムレがゴールポストをカバーする役目にまわり、CKのはね返りに対してラインを上げなかったため「カカとクレスポがオフサイドにかからなかった」というシーンである。

確かにエムレの判断が遅れたのは事実であるがこの判断は少し難しい。
もしチームが守備戦術として【ラインを上げる】という約束事が徹底されていたのであればエムレのミスであるが、もしかしたらそのシュートがカカにあたって偶然ループシュートとなり「エムレがヘディングでクリアした」という仮説が存在したら翌日の新聞には《エムレ、インテルを救う!》という見出しになってもおかしくないからである。

むしろここはガットゥーゾのシュートに対して誰もプレッシャーをかけに行っていない、そしてカカとクレスポをマークし切っていない他のプレイヤーたちのCKの守備の弱さを指摘するべきであると私はミラニスタの視点ではなく指導者の視点として思うのです。

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それから「この試合はミランにとってラッキーな得点だった」、「ミランはこの2月は幸運なゴールが連続3試合1−0の勝利(マンチェスターUも合わせると4試合)、2−1のメッシーナ戦(2月2日変則開催)と4試合で勝ち点4のところがなんと12も手にしている」と報じているマスコミや評論家に対しても私は反論したい!

【バランスを保ちながら攻撃姿勢を貫く!】

前者についてはマンチーニとは対照的なアンチェロッティの勇気ある采配が呼び込んだと言っても過言ではない。

前半37分に負傷したカラーゼ(マンチェスターU戦で一番出来がよかった)に対して切ったカードがそのセルジーニョ。
彼は左利きでサイドを得意とする攻撃的な選手である。
普通なら監督としてこんな緊迫したダービーでは「バランスを保ちたい」という心理が働いてもおかしくない。
なぜならカフーが務める右サイドに攻撃の比重がかかっているからで、考え方としてはマルディーニを左にもっていき、コスタクルタとネスタで中央、あるいはそのままコスタクルタを左にあてはめるという手段があった…。


写真「采配が対照的だったアンチェロッティとマンチーニ」

…にも関わらず彼は前半からコスタクルタではなく思い切って彼を投入している。
そして後半20分にそのコスタクルタをピッチへ送り出しセルジーニョを4−3−2−1の2の部分(ルイコスタのポジション)へパーツを当てはめたのである。
それによってミランの攻撃が増したとは言い難い…が、得点を生んだCKを獲得にするに至った要因であることは間違いない。

後者についてはアンチェロッティも「我々は幸運だった」と語っているように私もその事実を否定していない。(アンチェロッティは戦術的な真意を明かさないが…)

しかしアウェイにおいても常に守備を固められてカウンターの危機にさらされ、ホームではなおのこと引かれる守備が堅いセリエAのチーム相手に勝ち点3を獲得するのは非常に困難なのであります。

それを本当にやってのけることができるのは、単純でありますが勝利を貪欲に追及するアンチェロッティの【攻撃姿勢を貫くメンタリズム】がプレイヤーたちの魂に宿っており、なおかつ【カウンターを未然に摘む守備オーガナイズ】をチームで徹底して実行しているからである。

もちろんその背景にはすべての選手の能力、チームの状態、相手を丸裸にするアンチェロッティの戦術眼があることは言及しておきたい。
とくに今年は昨年のCL敗退の反省を踏まえて積極的にターンオーバーを利用している。

「0−0の第一戦よりもスペクタルさに欠け、引き分けが妥当」だったとベルルスコーニはインタビューに答えたが消極的な采配のマンチーニよりも積極的攻撃采配を見せたアンチェロッティに満足していたに違いない…。

幸運は同じように続かない、続くとすればそれは最後までゴールを奪うために大胆かつ細心の注意を払うメンタリズムを維持することができるチームにだけである…そう今のミランのように。

【2年前の再現、勝利の女神はどちらに微笑む?!】

勝つか?!…負けるか?!…はたまた引き分けるか?!
土壇場で切り出す選択、あなたのカードはアドリアーノそれともセルジーニョ?

そして女神の悪戯によって導かれたCLのヨーロッパミラノダービー!
インテルの雪辱なるか?!それともミランの返り討ちなるか?!
 

2年前の再現なるか?

CL組み合わせ

それではまた。
Ciao.

Kawa


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