カルチョの旅

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2004.11.28 NO.27


「4年間の真剣勝負!」


Ciao!

以前コラムで「日本人の少年たちの方がはるかにイタリア人の少年たちの技術力を上回る」と述べたことがあります。
今日は『その差がなぜ大人になってから試合の結果として逆転現象を生んでいるか?』を考察していきたいと思います。

今年の夏に五輪代表がイタリア代表と対戦したことは皆さんの記憶にも新しいことだと思います。
スコアこそ2−3で惜敗したイメージを受けますがその1点の間には大きな差があったことは指導者の方であれば理解できるでしょう…。
日本が得点したシーンはFKからとロスタイムにイタリアの選手が次節に備えてメンバーを落とし、ピッチにいる選手たちは流していた場面で入れたものです。
日本代表は五輪に向けて十分なキャンプを張って何度もテストマッチを行いメンバー選考も高原のアクシデントを除いては山本監督の構想どおりに進み、日本サッカー協会を中心に各クラブも協力的に彼らをバックアップしたにもかかわらず…。
片や今シーズンに向けて代表への選手派遣を渋り最後の最後までピルロが参加する、しないでもめたイタリア代表。
五輪代表のテストマッチはクラブのリーグ優先という目的でないに等しく、メンバーはリーグ戦で活躍しているクラブからチョイスされていく傾向が強い。
これはイタリアA代表でも同じ!(例えば先日の親善テストマッチのフィンランド戦ではビッグクラブのプレイヤーは数人しか選出されず若手が多数起用された)

この両者の環境の差は大きな隔たりがあります。
監督であれば間違いなく日本代表の環境を望むはずです。
しかし世界の現実はなかなか代表監督の理想どおりにはいかず厳しい日程の中でスケジュールをやりくりするのに四苦八苦というのが現状です。
そんなコンビネーションを磨く暇もない環境で求められるのはもはやプレイヤーたちの個々の能力と言えるでしょう。
ではその個々の能力を向上させるためにはどうするか?!

『そう真剣勝負のリーグ戦を重要視するということです!!!』

イタリアでは1年間をサイクルに毎年真剣勝負が行われる。
それはセリエAだけでなくセリエBもセリエCも、そして育成年代であっても!!!
ということは1年ごとにチームの目標が設定され、プレイヤーのモチベーションもそこに注がれ、コーチは1年単位の勝負(若手育成年代は結果最優先ではないが)が求められる。
この真剣勝負の中に妥協は存在しません。
「今日はテストマッチだから失敗はしてもいい。チームが今週行った課題を試そう。」なんていうセリフはテストマッチが頻繁に行われている日本にしかあてはまらない…と想像してしまう。

私は何も日本の指導者の方々を否定しているのではありません。
どんな指導者でも負けることを前提に試合には臨んでいないでしょうし、むしろ本気モードを選手に求めている指導者ばかりだと私は思っています。もちろんこれは選手たちにも当てはまる…。
しかし【環境が人を育てる】とはよくいったもので、日本ではその≪環境≫がまだまだ整っていないのではないでしょうか?!
今から述べることは日本の教育問題にも発展することですが日本には中学3年、高校3年という時間が存在します。

ここです!
この3年間で選手たちの集大成は一部の優秀な選手を除いて最後の1年間と言っても過言でありません。
すなわちその集大成の1年間のために1・2年生の間はテストマッチや数少ない公式戦、カップ戦をこなし監督にアピールしていきます。
単純計算しても6年間のうち2年間がそれにあたり、およそ2/3の4年間は真剣勝負とはほど遠い環境で一番重要な伸びしろが感じられる、劇的な成長期に実戦がないのは致命的であると言えます…。
一方で真剣勝負の中でお互いがしのぎを削ってセリエAの選手になることを夢見て、毎週そのリーグ戦に全力を注ぎ、そういった若者たちが4年間という時間を経過したらどうなるでしょうか…?!
【実戦に対する強さ】【技術を利用する判断力】【試合のペース配分】等のいわゆる≪試合慣れ≫という言葉で表現されますがこういった部分がまさしくこの前の五輪代表に欠けていました…。

日本でもリーグ戦の意義が検討され、育成年代を中心に公式戦の様相が変化してきたことは事実でありますがまだ氷山の一角である優秀な選手、強豪チームだけにそれがあてはまっている気がします…。
そしてその強豪チームでも3年生を中心にそれが進んでいるからそれ以外の下級生たちは真剣勝負の環境でプレイできていないのが現状でしょう…。
私が言いたいのは底辺のチームにまで真剣勝負で求められる環境を整備していき、強豪チームにおいても選手が飛躍的に伸びていく13〜18歳年代にこういった場が与えられる環境になっていくことを「提案したい!」ということです。
一部の選手だけでなくイタリア全土で繰り広げられているリーグ戦。
その中から生まれるセリエAのプレイヤー。
これが先に挙げた五輪代表の1点差に隠されている、見えなくて大きな差の要因の一つであることは間違いないでしょう…。

日本人の特性でもある技術習得の速さを生かすためにもいかに「それを実戦でいかに使うか?」という各々のレベルに適した実戦の場がどの年代でも存在する、そしてその中から技術力にも秀でて厳しいプレッシャーの中でも判断がしっかりできるプレイヤーが生まれる!
この好循環が日本サッカー協会の目標とする世界ベスト10に近づく道の一つであると思います。

そういった意味で今年度からの神戸市少年サッカーリーグ制度の改革(少年委員会の方々、運営される側の方々、大変ですががんばってください)を大いに賛成するとともに、この改革がさらなる少年たちの飛躍につながることを私は信じて止まない…。

それではまた。
Ciao.

Kawa
 
写真:
ユニホームを試合前に飾って、モチベーションを高める!戦術?笑


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