カルチョの旅

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2004.11.9 NO.26


「選択!決断!実行!」


Ciao!

先週(10/10)イタリア人子供たちと初勝利を飾りました。
これがまた皆さんに言いたかったことなんですがなんと私が採用した布陣!!!
イタリアにはふさわしくない2−4−4システム!!!

2人のDFに4人の中盤フラット、そして4人のアッタッカンティ!!!
どうです?笑えるでしょう…でも真面目なんですよ私!!!

なぜなら1人の優秀なDFが上の年代に助っ人で召集され、DFの役割を担えそうな人材がこれまたいない!
加えて先週ペルージャと対戦した時(10/3)に0−3で負けたんですけど私が素質を買っている中盤の2人(1人はキャプテン、1人は我がチームのダイナモ)をDFラインの中央で起用したんです、すると攻撃ができずジリ貧になって全体のラインが下がり守備一方になってしまった…。

だからこそ考えに考えた結果2−4−4!!!

私のチームは昨年度ひとつ上の年代で活躍していた優秀な中盤の選手が4人います(上に挙げた2人以外にもう2人いる)。
彼らの役割がまたライン際を専門とするのでまさにピッタリ。
表現上は2−4−4と言っても彼らは動き回るので中央DFの2人が困ったら自然とSBの役割もこなす!

もちろんこのシステム上の弱点と利点を試合前に説明。
中央のDF二人を助けるためにサイドの中盤がサポートするのは当然のこと、中央の中盤もDFがアプローチにいってDFラインに穴が開いたらDFラインに入って3バック気味になることも指示!

イタリアのこの年代の子って何なんでしょう?!
しっかり動きを把握しているのです…練習では言うことを聞かない上にシステム的な練習もしていないのに…。
なんて戦術理解度が高く実戦に強いこと!!!

そして4人のFWです。
彼らには悪いが攻撃面は期待せずボールを前から追っかけることを指示!
『相手にボールが渡ったらプレス!』
『可能な限り相手が私たちの弱点スペースにボールを蹴ってこないように邪魔すること。』
『さらにボールを奪ったら遠くからでもいいからシュートを狙う!』
そうすることによって自陣で守備をする時間をできるだけ省くという意図があったのです。

するとどうでしょう…?!
前半からしっかりプレッシャーも機能しボール回しも良くなりバランスが前回の試合よりも上がったのです。
相手関係にもよりますが…笑。

するとゴール前の混戦でFWのうちの一人Filippo【フィリッポ】(私はPippoと呼んでいる、なぜならインザーギはピッポというあだ名)がものの見事な振り向きざまの一撃を相手ゴールサイドネットに突き刺したのです!!!
それも右利きなのに左足シュート!!!
ここでも不思議を感じます。
普段はぎこちない左足シュートが試合ではナチュラルなインパクトからのシュートに変わっている…?!

最後も冷や汗をかきながらも2バックを保ち(なぜなら動揺している時の私の話すイタリア語は支離滅裂でシステムを変更するとヤバイと思ったから、苦笑)逃げ切り!!!

その後控え室でプレイヤーたちが得点者と3・4回ピンチを防いだGKに「はい拍手!!!」と自分たちで自然にこういった行為を行う姿を見て日本人がしない喜びの表現を感じていると、続いて「監督のKawaにもはい、拍手!!!」と初勝利をプレゼントしてくれたと同時に一緒に喜んでくれました。

とっても嬉しかったです。
そんなん言いながら先日の練習ではブチ切れてきたんですけど…笑。
この光景はまず日本では見られない。
勝って喜ぶ!勝って歌う!子供たちだけで褒め合うことを自主的に行なう!

・・・というわけで「勝っているときはシステムをいじらない」というセオリーを引き続き来週の試合(10月17日(日曜日))にも持っていこうと思い第3戦に挑みました。

でも少し変化させて2−5−3!!!
今週もDF陣が不足し、両サイドに広大なスペース。
中盤はDFの前にフィルター役のボランチが1人(プレイメーカーと呼ばれる)、その前に2人の中盤(メディアーノと呼ばれる)を配置しサイドは先週に引き続き同じ役割を担う2人!

前線を3人にした理由は先週の4人FWのうち2人が守備時に帰陣せずに残っていたため「中盤を厚くした方が良い」と判断したのと、攻撃時にゴチャゴチャしないようにゾーンをハッキリ定め、3人のうち1人のセンターフォワードタイプの選手Piccolo Shevchenko(小さなシェフチェンコという意味。でも白人のイタリア人、笑)のNicola【ニコラ】を活かそうと考えたからです。
※前節は92年生まれ(ひとつ上の年代)のチームに参加していた。

試合開始!!!
開始直後からボールポゼッションを展開し優位に立つ。
今週のテーマが≪2対1のクロスオーバー≫だったので至るところで数的優位を形成。
期待に応えPiccolo Shevchenkoのニコラがいきなり2得点を叩き出し、プレッシャーも上手くかけ例の弱点である両サイドスペースを使わせない。
このまま3点目が決まればそうそうに試合の決着がつくと思っていたらセコンドテンポ(この年代は18分×3テンポ)に一つのミスから失点で2−1!

ボールポゼッションはしているものの一気に試合の予断が許さない展開になり、またプレッシャーをかいくぐられ中盤を省略されるキックによる相手攻撃のカウンターの回数が増え始める…。

プリモテンポは点差が示している通り優勢、セコンドテンポは3点目が決められず逆にカウンターを食らって五分五分の展開…そして迎えたテルツォテンポ!
私の頭の中は【ピンチによるDF修正のイタリア語文章作成】と【選手交替の配置指示】で交通渋滞のごとくパニック。

もしこれが日本なら私にとって何の問題もなくしっかり指示を伝え、勇気を与え、選手たちをピッチに送り出せるでしょう…。

しかし異国の地で巧みに言葉を操れない現状、スタンドからは「守備を考えろ〜」「DFを1枚増やせ〜」等の保護者からの声援、いや戦術的指示に似たヤジが飛び交う中で平常心を保つのは容易ではないのです!

日本では指導者からの指示がなく、おまけに指導者からマイナスオーラが漂っていたらそれがチームに波及するのは間違いありません。(実体験が語る…笑)

ここからである、前回のコラムのテーマであった「イタリア人はアカンたれ!」の弱点が≪大いなる利点≫と劇的に変化するのは!!!(少々ここまで長かったが…)

2度目のハーフタイムでは【選手交代の配置】だけで先に挙げた【ピンチによるDF修正のイタリア語文章】を発揮するまでには至らなかった。
つまり各々に戦術的かつ具体的な指示を出せず、抽象的にチーム全体に「DFラインのディアゴナルライン形成を速くする」「守備面でのサイドの攻防では2対1を作るためにプレスバックを意識する」というだけだった…。

いろいろな思考が交錯する中いよいよ相手の猛攻撃が始まった。
自陣に釘付けにされ、再三ゴールをかすめるシュートが相手から放たれる。
ベンチから見ていた私が冷や汗をかくシーンは何度あったことか!!!

しか〜し!
彼らはたくましかった!!!
個人主義社会が発達しているゆえに自分が集団の中の個として機能するメンタリズムがないから【計算力、論理性に弱い】と前回のコラムで語ったが、集団的防衛機能よりも自己防衛的本能、そして勝利の哲学がDNAに宿る彼らは必死に防戦しようとポジションに関係なくボールが飛んできそうなところへポジションを取りプレッシングをかけに行っている。
「一体誰がパスを出すねん?」「誰がDFなん?」「おれ次にどこへ行けばええねん〜?」というシチュエーションはどこ吹く風である!
時間にあいまいな文化だからこそ密集の混雑に強い気がする…。

加えて、後半の最後になるとチームの守備面における決まりごとが疲れて果たせないことがよくあるのを目の当たりにしますよね〜。

この日の彼らはまさに最初からガンガンプレスをかけたためそういう状況でありました。
しかも監督の私からはさらに相手を自由にさせないために守備を要求されチームシステム上の机上論を述べられた!

日本の子供たちならその指導者の言われたとおりのことをこなす。
それをこなして失点する場面が訪れようとわかっていても…。

だがピッチで起きている危険な現象を、身をもって感じているリーダー格のプレイヤーたちは私の指示無しに勝手にポジションチェンジをしている。
そして危機察知能力を十分に発揮してあわやの場面をクリアしている。

さらに協調性が求められる日本ではふがいない味方に対し発奮を促す怒声に近い叫びは得てして『チームの雰囲気を壊す』と取られがちである。
そのため白でもない黒でもないといった雰囲気があることは皆さんも感じていらっしゃることだと思います…。
そして本当にピンチになったときにあわてて集団的に動揺することは現社会でも見られる現象であると言えます。

それに反して協調性よりも自己主張が過ぎるゆえにまとまりに欠ける外国人。
言いたいことはどんどん積極に発言するこの現象は試合でも見られる。
しかしそのストレートな意見は問題を解決するにあたって非常に明確にわかりやすく素早く解決に向かうときもある。
実際にこれらのリーダー格のプレイヤーが吠えて味方を叱咤激励する場面、あるいはお互いが勝利へ向かうために要求しあっている(見かけによってはケンカしているようにも見える、笑)場面は試合における集中力の高さを垣間見た気がする。

練習では準備に対して100%の力を注ぎ、試合では不足な事態が起きたときに弱い日本人!
片や練習では準備不足も随所に見られるが実戦になると個々の実力を発揮し、いがみ合いながらも組織的にまとまりを見せるイタリア人!
まことに対照的であります。

そんな現象を振り返えることができた私。
言うまでもなく4−2で勝利したからこそであります。
さて、来週はどうするかな?2バックでいこうかな?4トップにしようかな?
悩みは尽きないのでありました…笑。

それでは皆さんCiao!

Kawa

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