カルチョの旅

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2004.10.29 NO.25


「イタリア人はアカンたれ!!!」


Ciao!
最近イタリア人の子供たちをコーチしていて日本との文化の差に困ることが多々あります・・・。

例えば怒る回数!!!

イタリアでは子供に対する親の甘やかし具合といったら本当にとんでもない。
子供を大事にするその姿勢は賞賛に値するが、一方で我慢強さを小さな頃から植えつける習慣がとてつもなく甘い!!!…気がするのはおそらくイタリアにいる日本人の中で私だけでないでしょう…。

私は現在ペルージャのMontemorcino(モンテモルチーノ)というクラブで93年生まれ(イタリアでは9月からシーズンが開幕し、チームも誕生西暦で区分けされている)の子供たちのコーチをしている。
※ですから日本では5〜6年生にあたります。ほぼ5年生で早生まれが6年生。

1週間に2回(火・金曜日)の練習と週末の試合1試合(土曜日か日曜日)の活動があるのですが、この活動の中で先に挙げた文化の差に困惑している私の現状を今日は考察していきたいと思う。

【話を聞かないけど話好き…?!】
冒頭に『甘やかされて育っている』と挙げたがこれは個人差によるもので躾がしっかりしている家庭の子供は怒ったときのコーチの話は聞く!
もちろん年代にもよるが5年生ともなればコーチが話をする時は黙って聞く能力も選手として重要なことである。

しか〜し…イタリア人の子供たちは過半数以上がコーチの話を聞かない!!!
そのコーチが注意をしている対象の子供以外は本当に隣のプレイヤーにチョッカイを出し、ボールが自分の手元にあるとリフティングし壁に向かってボールをける。
それも一度怒れば普通は「もうしない!」と思うだろうが同じイタズラを繰り返す。
厳しい顔で語るときや大声を張り上げたときのみ一瞬たじろいだ顔を見せるがすぐにイタズラが復活する…。

これは冗談好きな民族性がそうさせているのか?
それとも忍耐力がないのか?
何回も怒ってようやく練習が正常に機能し始める。

そういえば新聞屋のMassimo(大人38歳)も俺の話の途中にきれいな女性を観た瞬間、そっちに集中がいって話きかへんなぁ〜。

【我慢できない…】
よく日本人は謙虚な姿勢を貫くために気持ちを前面に出さないことが多いと言われる。
しかしこの国は『言ってなんぼ!』の世界が存在し、口に出さなければ『それは何も考えていないのと一緒である』とも言われる。

ある一つのトレーニングの説明をしていると右から左から矢のように質問が飛んでくる。
それだけ好奇心旺盛なことはいいのだが最後まで黙ってきく我慢強さは持ち合わせていないためトレーニングがスムーズに進むことはまずない。
さらに話の途中で他人の質問を聞かずに同じ質問をするプレイヤーもいるからことさら練習が先に進まないのである。

仮に反復練習をしても1人で黙って集中してプレイする子は少ない。
自分たちの興味が薄いトレーニング内容についてはさらに我慢強さに欠ける。

これってもしかして私の≪我慢強さ≫が試されているんだろうか?!苦笑

【計算力、論理性に弱い
個人主義社会が発達しているから自分が集団の中の個として機能するメンタリズムがない。
ゆえに練習の中でローテーションなどを確立させようものなら各々が説明を十分に理解せず勝手に解釈して動こうとするからシュート練習の際にシュートのところにたくさん人が集まることは多々ある。

「一体誰がパスを出すねん?」「誰がDFなん?」「おれ次にどこへ行けばええねん〜?」などのフレーズが飛び交うこと間違いなし。

これは時間を正確に守らない文化から生まれている気がする…。

【ずる賢さは天下一品】
日本でよく『マリーシア』というポルトガル語で表現される『ずる賢さ』についてもこのコラムでも言及したい!!!

イタリアの少年育成の現場でプレイヤーに罰としてグラウンドを走らせる文化が存在する。日本でもたまに見かけるがイタリアの場合はそれが日常茶飯事であります。
悪いことをしたら(集中力を欠いたら)それだけの償いをしないと練習の輪の中に入れないという認識が非常に強い。

例えば説明時に話を聞いていないあるプレイヤーに「はいグラウンド10周!」と罰を課す。
当然そのプレイヤーは走らなければいけない…。

しかし私が次の練習の準備をしている最中にさりげなく次に行動するためのグループ分けの中に潜りこんでいる…。

また10周といったのに7周ぐらいで「コーチ終わりました…ハァハァハァ」とか演技派俳優のようにチョロまかして私に寄り添ってくるプレイヤーも多い。
それからグラウンド全体を1周しなければならないのにコソっと半周したり1/4コートを横切ってそれでも7周ぐらいしか走らないプレイヤーも多い。

いずれにしてもこういった抜け道というか見えないところでのイタズラからファウルをもらう習慣が生まれるのだろうか?

少年の頃はかわいいものだがセリエAやBといった大人の試合でPKをもらったかのように大袈裟に倒れるあのしぐさは実にみっともない!(トッティやヴィエリが身振り手振りでジェスチャーする姿など私は好まない!)
まぁこういった『ずる賢さ』が試合の流れを読んだり勝利を引き寄せたりするのだが…。

ちなみにイタリア語ではこの『ずる賢さ』は≪Furbo(フルボ)≫と表現される。

【日本人は技術力が高い】
イタリアでは学校で体育の授業がとてつもなく少ない!
週に1時間か2時間ぐらいで、スポーツは午後の時間(小・中学校はだいたい13:00ぐらいで終了する)に各々がクラブチームに入って活動するものとして考えられている。

そのため走り方がしっかりしていない子供が多いのもビックリするが何よりボール扱うための巧緻性や細かな感覚力が低い。

加えて日本みたいに一度の練習を2〜3時間(短時間で集中して行うクラブも増えてきたが)行うことをしないから反復トレーニングで各自の技術をレベルアップさせることは極めて困難なのです。

はっきり言って日本の子供たちの技術力はイタリアの相対的な少年たちの技術力をはるかに凌ぐ…どうして大人になって代表同士にあんな差(今年のオリンピック1次リーグ)がつくのだろう・・・?!

私の技術や時間に正確な民族性を肯定するためにも代表に勝利して欲しかったところである…。

【日本へのノスタルジア?苦笑】
あ〜あ、日本の子供たちを教えていた頃が懐かしい・・・。
相対的に彼らは聞く耳を持っていて、できなかったらそれなりに我慢強さを持って練習に取り組んでいた気がする。
それに子供らしさは持っていても、コーチが1人のプレイヤーに怒ったら全員が「怒られているモード」になったものだ・・・。

そんな言うことを聞かないイタリア人の子供たち!
彼らにはスパルタ教育が必要である。
日本モードで改革を図っている私…だが彼らよりも先に保護者への意識改革が求められる…ことを忘れていた…笑。
それにこのコラム…私の説明不足や表現不足をアピールしてしまった気がする…。苦笑

今回はイタリア人の文化的弱点の考察をしていきました。
次回はこの弱点が実は《大きな利点》になっていることを試合分析の中で考察していきたいと思います。

それではCiao.

Kawa


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