カルチョの旅

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2004.9.29 NO.24


「指導者も成長しよう!」


Ciao!
先日、日本へ一時帰国をしてまいりました。
その時に数々のイベントに参加させてもらったのでそこで感じたイタリアとの比較を
簡単に述べたいと思います。
さて、日本人の試合で感じたことが3つ!!

1.『シュートレンジが狭い!』

7月31〜8月8日まで日本クラブユース選手権U-18に大会スタッフとして参加させ
てもらった。
その時に運営サイドとして本部席からいくつかのゲーム分析をして気付いた点である
(本当は運営に神経を使わないといけないのに…笑)。

その時に感じたのはFWや中盤のプレイヤーが攻撃している場面で「ここ!」というタ
イミングをうかがっている気配が感じられない。
つまりきちんとした攻撃態勢からグループで崩しきった時に「ここ!」というイメー
ジの共有化はできているのであるがそれはあくまでもゴールから手前の20m付近ま
でのこと。それよりも遠いポジションから個々の「シュートへのアイディア」が乏し
いことは如実に感じた。

おそらく大会を通じてセットプレイやペナルティエリア内からの得点は多かったがペ
ナルティエリア外からのミドルシュート、ロングシュートは少なかったと思われる(
実際にすべての試合を見ることができておらず、そして集計をとっていないのであく
までも推測)。

これは何も日本クラブユース選手権U-18のプレイヤーだけではない。
Jリーグも2試合観戦し、神戸市少年リーグ、高円宮杯U-15神戸市予選も現場サイド
で観戦させてもらったので総体的に感じた印象である。

別に「常にミドルシュート、ロングシュートを狙え!」と言っているのではない。
攻撃者が目指すものは『ゴール!』

もちろんその過程においては各チームのコンセプトがあるのでここでは言及しない
が、個々のGKのスキをうかがう姿勢やボールが来たら「迷わずシュート!」という判
断を持っているプレイヤーは非常に少なかった。
ゆえにシュートまで理想な流れとして持っていった局面では個人のシュートまでのイ
ンパクトの振り足は鋭い。
しかしそれ以外の局面では選択肢の中にシュートが持てていないからインパクトが遅
いし混戦でも躊躇からDFに先にシュートコースに入られてしまっている…。

イタリアで優秀なGKが各年代に存在する理由の一つに【絶え間なくシュートが枠を捕
らえる】ということがある。
いついかなる時も集中力を切らさないGKのメンタリズムはこういった攻撃者のスキが
あれば「シュートを枠へ飛ばしてくる!」という背景が生んでいるのである。
何もきれいなシュートが重要なのではない、ときには「タイミングが合わない局面で
もゴールを決める!」ということも大事なのである。

2.『守備からの攻撃に転ずるキックが正確ではない!』

夏休み期間には様々なチームを考察することができたが総じてカウンターの意識が低
いように思えた。別にイタリアサッカーが好きで「カウンター!カウンター!」と
言っているのではないことをまず先に述べたい。

まず通常ボールポゼッションが低いチーム、あるいは個々の質が対戦相手よりも劣っ
ているチームが勝つ手段として用いるのがカウンターアタックである。
しっかり守備を固め、組織で守って強者に立ち向かうためには常套手段と言える。
そのためにはチーム全体の攻撃イメージの一致が必要不可欠であるが、個人技術の
【キックの質】、それから個人戦術の【スペースを認知する判断力】もまた必要不可
欠である。

前者は日本全体の課題であるがゆえに皆さん研究されていると思う。
後者については指導者が意識できていてもプレイヤーが意識できていないような気が
する。
つまりFWがスペースに走りこんでもDFが見ておらずパスが出ない。
またパスが出ないからFWの動き出すタイミングが悪い。

この守備から攻撃に転ずるキックの質は何もカウンターだけではない。
ビルドアップを仕掛けるときにパスミスの多いこと!

奪われてはいけない地域でパスミスが頻繁に起きている現象はポゼッションサッカー
を理想とする日本サッカー全体の問題と言える。
加えてそういった地域で取られても鋭いカウンターを相手から食らわないためにプレ
イヤーの危機意識が低い。
ポゼッションサッカーを理想とするのであればなおのこと丁寧なキックと事前の判
断、相手にプレッシャーをかけられた時の対処方法をいくつも講じておかないといけ
ない。

何が一番危険で?何を一番に考えなければいけないか?のセオリーがプレイヤーの中
で成り立っていないのは極めて問題であると言える…。

3.『集中!切り替え!ふんばりどころ!…?!』

よく日本ではアウトオブプレイになると「集中!」という言葉を耳にする。
これはプレイヤー間だけでなく、指導者の間でも頻繁に使われる言葉である。

…しかし「集中!」って一体何に対して言っているのだろう?

相手の攻撃に対して?味方のプレイに対して?それとも自分自身に対して?…。
おそらくすべてに当てはめているのだろう。
指導者は外から見ていて集中できていなさそうなプレイヤーに声をかける、あるいは
全体的に雰囲気が締まっていない場合に用いる(実際に私もそうであった…笑)。
そしてプレイヤー間ではCKの守備、危ない場面をしのぐ前、しのいだ後に用いられ
る。

さらに「切り替え!」という言葉もよく耳にする。

これはとくに攻撃から守備に移る際に守備の遅れているプレイヤーに対して発せられ
る言葉である。
あるいはミスした後に気落ちした仲間やチームに対してメンタル的に「切り替えよ
う」という意識から生まれる。
ここで思うことは「切り替えができない」チームや個人は結局そういった環境や習慣
がそうさせていない。

それから「ここ、ふんばりどころ!」という声もグラウンド上で聞くことのできるフ
レーズである。
1点差で勝っている場面、同点で後半を迎えている場面などがとくに指導者から発せ
られる(ここでも実体験を基に語っている、苦笑)。

でもこれって…?!

試合をしているプレイヤーたち全員が必然的に感じていることで、ピッチ外からイチ
イチ指導者が言わなくても彼らがわかっていることである。
それをピッチの中で指導者の代わりに代弁できるリーダーがいるかいないかが勝負の
鍵を握る!
そんなことを言う暇があったら「ふんばるために何を実行しなければいけないか?」
(例えば守備のポジショニングの修正の指摘)に指導者は目を配る必要があると私は考
える。

本当に強いチームは『集中!切り替え!ふんばる!』といった雰囲気を自らで作り出
し誰かが声をかけなくても自然とできる環境を作っている。

ちなみにイタリアの指導者から「集中!切り替え!ふんばりどころ!」といった掛け
声は皆無である。
良い指導者は問題点を試合の中で抽出し、すぐさまそれに対する修正や改善ができて
試合の結果・内容を試合中に向上させることができ、試合後も分析をきちんと行い集
団や個々の成長させることのできる能力を持ったコーチである。

今回は私が「イタリアで感じた経験」を「日本の指導に活かそう」と考えた視点で考
察したコラムでした。
そんなことを言いながらもプレイヤーたちに「集中!切り替え!ふんばれ!」という
私を見かけたら迷わず右手を挙げてブーイングしてください、笑。


最後にこの夏日本でお世話になった方々へこの場を借りて感謝を述べたいと思いま
す。
Vi ringrazio tutto di cuore!(本当にありがとうございました!)

それではCiao!

Kawa
 


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